【新人看護師向け】開頭外減圧術(減圧開頭術)とは?目的・術後の観察ポイント・よくある疑問をわかりやすく解説

新人看護師向け

 こんにちは!

 ひめたろ🐶です。

 今回は開頭外減圧術について解説します!

 脳神経病棟では、

 重症脳梗塞や脳出血、頭部外傷などにより

 脳が大きく腫れてしまった患者さんに対して、

 開頭外減圧術(減圧開頭術)が行われることがあります。

 しかし、こんな疑問を持ったことはありませんか?

新人ちゃん
新人ちゃん

・開頭外減圧術ってどんな手術?

・どうして頭蓋骨を外す必要があるの?

・外減圧部が膨らんでいるけど大丈夫?

・なぜヘルメットを着けるの?

・術後は何を観察すればいいの?

 今回はそんな疑問を解決できるように、

 手術の目的から術後管理、現場でよくある疑問まで詳しく解説します。


 この記事を読んでわかることは以下の通りです。

・開頭外減圧術とは何かがわかる

・手術が必要になる疾患を知る

・手術の流れが理解できる

・術前準備がわかる

・術後の観察ポイントが理解できる

・主な合併症を知る

 それでは早速見ていきましょう!


開頭減圧術とは?

脳が大きく腫れて頭蓋内圧が上昇したときに、

 頭蓋骨の一部を取り外して脳が膨らむスペースを作る手術

 「外減圧術」や「減圧開頭術」と呼ばれることもあります。

  

新人ちゃん
新人ちゃん

なんでわざわざ頭蓋骨を外さないといけないの?

危なくない?

 それでは次章で

 頭蓋骨を外さなければいけないケースとその理由を解説していきましょう。

脳が腫れると、頭蓋骨で脳ヘルニアになる可能性がある…?!

 脳梗塞や脳出血、頭部外傷などによって

 脳にダメージが加わると、

 「脳浮腫(脳の腫れ)

 が起こることがあります。

 しかし、頭蓋骨は硬く、簡単には広がりません

 そのため、頭蓋骨の中で脳が腫れると、

 逃げ場がなくなり頭蓋内圧(ICP)が上昇します。

 頭蓋内圧が上昇すると、

 脳そのものが圧迫されるだけでなく、

 脳へ流れる血液も減少してしまいます。

 さらに脳浮腫が進行すると、

 脳が本来の位置から押し出される脳ヘルニアを起こし、

 生命に関わる状態になることがあります。

新人ちゃん
新人ちゃん

ちなみに脳ヘルニアって何⋯?

ひめたろ
ひめたろ

脳ヘルニアは、

脳の腫れなどで

脳の本来の場所から押し出されちゃって

他の脳や血管を圧迫しちゃうんだよ!

意識障害とか呼吸障害など、

命を脅かす病気なんだ!

ひめたろ
ひめたろ

そこで頭蓋骨の一部を取って、

脳が膨らむスペースを作るんだ!

新人ちゃん
新人ちゃん

それが開頭減圧術なんだね!

新人ちゃん
新人ちゃん

脳の腫れができる疾患ってこと?

脳浮腫とか?

 代表的なものとして、下のような疾患があります。

悪性中大脳動脈梗塞

重症頭部外傷

脳出血

くも膜下出血

…その他、重度の脳浮腫を伴う疾患

 などがあります。

 特に、広範囲の脳梗塞によって強い脳浮腫が起こる

 「悪性中大脳動脈梗塞」では、

 脳ヘルニアを防ぐために開頭減圧術が検討されることがあります。

悪性中大脳動脈梗塞とは?

悪性中大脳動脈梗塞とは

中大脳動脈の広い範囲が詰まり、

 強い脳浮腫を起こす重症の脳梗塞のこと。

 脳が広い範囲でダメージを受けることで脳浮腫が強くなり、

 広範囲の脳梗塞から強い脳浮腫

 頭蓋内圧の上昇となり、脳ヘルニアへと進行する危険があるのです。


 開頭減圧術では、主に以下のような流れで手術を行います。

① 頭皮を切開する

全身麻酔を行った後、頭皮を切開します。

② 頭蓋骨の一部骨弁を取り外す

③ 硬膜を開いて広げる

…頭蓋骨の内側にある硬膜を開き、

 必要に応じて人工硬膜などを用いて広げます。

 これにより、腫れた脳がさらに膨らめるようにします。

④ 骨弁は戻さずに閉じる

 骨弁は一旦戻さず、頭皮を閉じて手術を終了します。

 取り外した骨弁は、後日行われる頭蓋形成術まで保存されます。

ひめたろ
ひめたろ

脳の腫れが引くまで外減圧!


 術前準備については過去の脳動脈瘤クリッピング術と同じなのでここでは割愛します。

 もし確認したい人は下にURLを貼っておきますね。

・脳動脈瘤クリッピング術(全身麻酔)⇒ https://x.gd/bAjV1


 開頭減圧術後は、

 脳の状態が悪化していないかを早期に発見することが重要です。

 ここでは、開頭減圧術後に特に注意したいポイントを紹介します。

① 意識・瞳孔・麻痺の変化

 今までの術後観察項目の基本は以下のように変わりません。

JCSなどによる意識レベルの変化

瞳孔径・左右差の変化

対光反射の有無

運動麻痺の程度

 意識レベルの低下や新たな瞳孔不同、麻痺の悪化などがみられた場合は、

 脳浮腫や術後出血などの可能性があるため、速やかに報告します。

② 外減圧部の状態

 開頭減圧術後は、頭蓋骨の一部がないため、

 以下のように外減圧部を観察します。

膨隆していないか

陥没していないか

・発赤や腫脹がないか

圧迫されていないか

 などを確認します。

 特に、急激な膨隆や神経症状の変化を伴う場合には注意が必要です。

ひめたろ
ひめたろ

外減圧部の観察はこの開頭減圧術後ならではの

観察項目だね!

③ 血圧・体温などの全身状態

 血圧の変化発熱にも注意します。

 特に術後は、血圧管理や感染徴候の有無を確認し、

 医師の指示に沿って管理します。

ひめたろ
ひめたろ

創部からの感染や、

そもそも本来ある頭蓋骨を一部取っているので

身体状態の変化には気をつけたいね


【実体験】開頭減圧術後にひめたろが注意していたこと!「外減圧部を圧迫しない」

 実際私(ひめたろ)が

 開頭外減圧術後の患者さんを担当していたときは

 外減圧部を圧迫しないようにする

 ことに注意していました。

 開頭減圧術後は、

 「頭蓋骨が一部ない状態」でしたね。

ひめたろ
ひめたろ

脳圧をさげるために頭蓋骨を一部取ったのに、

外減圧部を圧迫したらダメでしょ!

 そのため、神経学的所見の変化を観察するとともに、

 体位変換や移乗、リハビリの際には

 外減圧部をぶつけたり、

 強く圧迫したりしないように注意してました!

 また、離床時には頭部を保護するため、

 医師やリハビリスタッフの指示に応じて

 保護用ヘルメットを使用してました。

ひめたろ
ひめたろ

体位交換のときに誰もが

「この人は外減圧してる!」って

わかるようにベッドサイドに

「左/外減圧中」と注意喚起してたよ!


 開頭減圧術後は、手術そのものによる合併症だけでなく、

 もともとの脳浮腫や脳梗塞などによる影響にも注意が必要です。

 ここでは、特に知っておきたい合併症を紹介します。

① 術後出血

 手術後に、手術部位などから出血することがあります。

 出血によって脳が圧迫されると、

・意識レベルの低下

・瞳孔不同

・麻痺の悪化

・頭痛

 などの神経症状がみられることがあります。

 術後に神経症状が急に悪化した場合は、

 術後出血を疑うことが重要です。


② 脳浮腫の悪化

 開頭減圧術を行っても、脳浮腫がすぐに改善するとは限りません。

 特に重症脳梗塞などでは、術後も脳浮腫が進行することがあります。


③ 感染

 頭部の手術創から感染を起こす可能性があります。

 発熱、創部の発赤や腫脹、排膿などに注意します。


④ てんかん発作

 脳の損傷や手術の影響によって、

 術後にてんかん発作を起こすことがあります。

 全身のけいれんだけでなく、

 意識が急に悪くなる、片側の手足がピクピクするなどの

 症状がみられることもあります。

ひめたろ
ひめたろ

てんかん(けいれん)出現時の対応については過去投稿がありますので、

そちらをご覧ください!

・けいれん時の対応⇒ https://x.gd/L4o0P

⑤ 水頭症

 開頭減圧術後には、

 髄液の循環が変化することで水頭症を起こすことがあります。

 水頭症では、意識障害や歩行障害、認知機能の低下

 などがみられることがあります。


⑥ シンクフラップ症候群

新人ちゃん
新人ちゃん

シンクとラップ?症候群?

聞いたことないな

シンクフラップ症候群とは?

…開頭減圧術後、脳の腫れが改善してくると、

 骨を外した部分がへこんでくることがあります

 その状態で大気圧などの影響を受け、脳が圧迫されることで、

 頭痛や意識障害、麻痺の悪化などを起こすことがあります。

 必要に応じて、後日行う頭蓋形成術によって改善を図ります。

ひめたろ
ひめたろ

私の経験上、頭蓋形成(骨を戻す手術)すると、

割と意識状態が改善する患者さんもいるよ!

もともと意識なかったのに

なぜか骨を戻すと反応がよくなるというか

…不思議だね!


 それではここでもよくある疑問について答えていきましょう!

外減圧部が膨らんでいるけど大丈夫?

 術後は脳浮腫や頭蓋内圧の影響で外減圧部が膨らむことがあります。

 これは脳が減圧スペースへ広がっている状態であり、

 必ずしも異常ではありません。

 しかし、以下のような症状の変化や所見があれば

 すぐ医師へ報告しましょう!

・急激な膨隆

・意識低下

・瞳孔不同

・運動麻痺の悪化


外減圧部がへこんでいるけど大丈夫?

 脳浮腫が改善すると、外減圧部がへこんで見えることがあります。

 一方で、以下のような症状があれば

 シンクフラップ症候群の可能性があるので

 よく観察する必要があります。

・頭痛

・めまい

・神経症状の悪化


なぜヘルメットを装着するの?

 骨がないため、脳は皮膚だけで保護されている状態です。

 転倒や接触で脳を損傷する危険があるため、

 離床やリハビリでは保護用ヘルメットを装着することがあります。

ひめたろ
ひめたろ

外減圧部に衝撃を与えないことが大事!


患側を下にして寝てもいいの?

 施設や患者さんの状態によって対応は異なります。

 術後早期は、

 骨がない部分へ直接圧力が加わることや創部への負担を考慮し、

 患側を下にした体位を避けたり

 クッションなどで保護したりすることがあります。

 体位変換は、必ず施設のマニュアルや医師の指示に従いましょう。

ひめたろ
ひめたろ

うちの病棟では、外減圧部は絶対に下にならないように

体勢を調整するよ!


シャンプーはいつからできるの?

 創部の状態やドレーンの有無によって異なります。

 医師の許可が出てから開始し、

創部をこすらない

創部出血がないか確認

外減圧部をぶつけない

 ことが大切です。

ひめたろ
ひめたろ

私は、できるだけ外減圧部は優しく洗ってたよ!


骨を戻す手術はいつ行うの?

 脳の腫れが改善し、全身状態が安定したら頭蓋形成術が行われます。

 時期は患者さんによって異なりますが、

 一般的には数週間〜数か月後に行われます。


 今回は開頭減圧術について解説しました!

 開頭減圧術は、

 脳が大きく腫れて頭蓋内圧が上昇した際に、

 頭蓋骨の一部を取り外して脳が膨らむスペースを作る手術です。

 特に悪性中大脳動脈梗塞など、

 強い脳浮腫によって脳ヘルニアを起こす危険がある場合に、

 救命を目的として行われることがあります。

 術後は、

 意識レベルや瞳孔、麻痺などの神経症状を観察するとともに、

 骨がない外減圧部を圧迫や衝撃から守ることも重要です。

 外減圧中だからといってシャワーに入れないとか

 リハビリができないわけじゃないけど、

 「外減圧部を圧迫しないこと」。

 これが一番大事です。 

 それではまた次回!

けいれん時の対応

脳動脈瘤クリッピング術(全身麻酔)

瞳孔の見方

意識状態の見方

運動麻痺の見方

尿崩症

髄液漏管理

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