心原性脳塞栓症とは?症状・検査・治療・看護のポイント

新人看護師向け

 こんにちは!

 ひめたろ🐶です。

 今回は「心原性脳塞栓症」について解説します!

 脳神経病棟では、

 心原性脳塞栓症で入院する患者さんを受け持つことがあります。

新人ちゃん
新人ちゃん

・心原性脳塞栓症って、普通の脳梗塞と何が違うの?

・心房細動(Af)がある患者さんは、なぜ脳梗塞になりやすいの?

・看護では何を観察すればいいの?

 このような疑問を持つ新人看護師さんもいるのではないでしょうか。

 心原性脳塞栓症は、

 脳梗塞のなかでも重症化することがあるタイプの脳梗塞です。

 今回は、心原性脳塞栓症の病態から、

 症状・検査・治療・看護のポイントまで解説します。


心原性脳塞栓症とは?心臓でできた血栓が脳の血管を詰まらせる脳梗塞

心原性脳塞栓症とは?

心臓でできた血栓が血流に乗って脳へ運ばれ、

 脳血管を詰まらせることで起こる脳梗塞のこと

ひめたろ
ひめたろ

脳梗塞には大きく、3つの種類がありましたね!

そのうちの1つだ!

 このうち心原性脳塞栓症では、

 「心臓」が血栓の出発点になります。

 特に重要なのが「心房細動(Af)」です。

新人ちゃん
新人ちゃん

心房細動?

心電図でなんか聞いたことあるけど⋯

ひめたろ
ひめたろ

心房細動については

のちほどどんな波形かみていくよ!


心原性脳塞栓症の好発部位は?中大脳動脈(MCA)に詰まりやすい!

 心原性脳塞栓症では、

 比較的大きな血栓が血流に乗って脳へ運ばれるため、

 太い脳血管が閉塞することがあります

特に重要な好発部位

中大脳動脈(MCA)

 中大脳動脈が広範囲に閉塞すると、

 反対側の片麻痺や感覚障害、失語、共同偏視、意識障害など、

 さまざまな症状が出現することがあります。

 また、広範囲の脳梗塞になると、

 時間の経過とともに脳浮腫が強くなり

 重症例では生命を脅かすことがあります。


心原性脳塞栓症の原因は?最も重要なのは心房細動(Af)

心原性脳塞栓症の重要な原因

心房細動(Af)

 心房細動では心房が細かく不規則に興奮し

 十分に収縮できなくなります

 そのため、心房内で血液がよどみ

 血栓ができやすくなります

 この血栓が血流に乗って脳へ移動すると、

 脳血管を閉塞させます。

 そのため、心房細動がある患者さんでは、

 脳梗塞を予防するために

 心原性脳塞栓症のリスクを評価することが重要です。

 心房細動以外にも、

 心臓の弁膜症や心筋症など、

 心臓内に血栓を形成する原因となる疾患が関係することがあります。

心房細動(Af)とは?RR間隔が不規則で明らかなP波がない

心房細動(Af)とは?

心房がバラバラに細かく動き、

 心臓が規則正しく血液を送り出せなくなる不整脈のこと

 詳細な心電図波形の説明は他記事で解説します。


心原性脳塞栓症の症状は?突然の片麻痺や意識障害に注意

 心原性脳塞栓症では、

 突然症状が出現することが大きな特徴です。

特に重要なのは「意識障害」と「広範囲の神経症状」

【心原性脳塞栓症の重要な症状】

意識障害

片側の運動麻痺

 さらに、大きな脳梗塞では脳浮腫が進行し、

 意識レベルがさらに低下することがあります。

 そのため、 

 「入院時と比べて意識レベルが低下していないか」

 を継続して観察することが重要です。

 もちろん他にも

 感覚障害、構音障害、失語、共同偏視、反側空間無視、視野障害

 などがあります。


心原性脳塞栓症の検査は?頭部画像と心臓の検査が重要

 心原性脳塞栓症では、

 まず脳梗塞の有無や梗塞範囲を確認します。

 主に、

・頭部CT

・頭部MRI

・MRA

・CTA

 などの画像検査が行われます。

 さらに「なぜ脳梗塞が起こったのか」を調べるため、

 心臓の評価も行います。

心房細動の確認には心電図が重要

 心原性脳塞栓症では、

 心房細動の有無を確認することが重要です。

 そのため、

12誘導心電図

モニター心電図

ホルター心電図

心エコー

 などが行われることがあります。

 心房細動には持続的に認められるものだけでなく

 発作的に出現するものもあります。

 そのため、

 短時間の心電図だけでは心房細動を捉えられない場合があります。

ひめたろ
ひめたろ

心原性脳塞栓症の最も重要な原因である

心房細動を徹底的に検査するんだ!


心原性脳塞栓症の治療は?「早期の再開通」と「再発予防」が重要

 心原性脳塞栓症の治療では、

 発症からの時間や血管の閉塞部位

 患者さんの状態などを確認しながら治療方法を選択します。

 主な治療には、

・t-PA静注療法

・血栓回収療法

・脳浮腫への治療

・抗凝固療法

・リハビリテーション

 などがあります。

t-PA静注療法

 t-PAは血栓を溶かす作用を持つ薬です。

 適応となる患者さんでは、

 できるだけ早く投与して血流の再開を目指します。

 そのため、脳梗塞では「発症時刻」が非常に重要です。

ひめたろ
ひめたろ

t−PA療法については次の記事で解説するよ!


血栓回収療法

 大きな脳血管が詰まっている場合には、

 カテーテルを使用して血栓を回収する血栓回収療法が検討されます。

 血管を早期に再開通させることで、

 まだ障害が完成していない脳組織を救える可能性があります。


脳浮腫への治療

 大きな脳梗塞では、

 梗塞した脳組織の周囲に脳浮腫が生じることがあります。

 脳浮腫が強くなると、

 周囲の脳を圧迫し、

 意識障害などが悪化することがあります。

 重症例では、減圧開頭術によって

 頭蓋内圧を下げる治療が行われることがあります。

ひめたろ
ひめたろ

実際、私が以前担当した心原性脳塞栓症の患者さんでも

脳浮腫が起こって外減圧した人がいたよ!

 開頭外減圧術についてはこちらからご覧ください!


抗凝固療法

 心原性脳塞栓症では、再発予防のために抗凝固薬が使用されます。

 代表的なものとして、

ワルファリン

DOAC(直接経口抗凝固薬)

 などがあります。

 ただし、脳梗塞の大きさや出血性変化などによって

 抗凝固療法を開始するタイミングは異なるため、

 医師の判断が重要です。


心原性脳塞栓症の看護のポイントは?「神経症状・脳浮腫・再発・合併症」を観察する

 心原性脳塞栓症の看護では、

 単に「麻痺があるか」を見るだけではありません。

 神経症状の変化と全身状態を継続して観察することが重要です。

① 意識レベルの変化を観察する

 まず重要なのが意識レベルです。

 JCSなどを用いて観察します。

 特に大きな脳梗塞では

 脳浮腫が進行する可能性があるため、

 「昨日と比べて意識状態が悪化していないか」

 という変化を見ることが重要です。

 JCSについては次の記事をご覧ください!


② 麻痺や神経症状の変化を観察する

 運動麻痺、神経症状の変化も観察で重要です!

・上肢・下肢の運動

・麻痺や感覚障害の左右差

・感覚障害の有無

・構音障害の有無

・失語の有無

・瞳孔・対光反射・共同偏視

・半側空間無視の有無

 などを観察します。

 特に、今までできていた動作ができなくなった、

 麻痺が悪化したなどの変化には注意します。

ひめたろ
ひめたろ

これらの観察項目ではNIHSSでも同じように評価をするよ!

 NIHSSや瞳孔、運動麻痺についてはこちらをご覧ください!

ひめたろ
ひめたろ

大きな脳梗塞では

脳浮腫が進行する可能性があるから

これらの観察が必須だよ!


③抗凝固薬による出血にも注意する

 心原性脳塞栓症では

 再発予防のために抗凝固薬が使用されることがあります。

 抗凝固薬を使用している患者さんでは、

 出血のリスクにも注意します。

 例えば、

・歯肉出血

・鼻出血

・血尿

・下血・黒色便

・皮下出血

・意識状態の変化

 などを観察します。

 また、転倒などの外傷にも注意が必要です。


④嚥下障害・誤嚥に注意する

 脳梗塞では嚥下機能が低下することがあります

 そのため、以下のことを観察します。

・むせ

・咳

・声質の変化(嗄声)

・唾液の貯留

・嚥下後のSpO₂低下

 誤嚥性肺炎の予防という点でも、

 口腔ケアや適切な食事形態の選択が重要です。

ひめたろ
ひめたろ

STさんと協力して

その人にあった食事形態を決めていきたいね


⑤廃用症候群や深部静脈血栓症にも注意する

 重度の麻痺や意識障害がある患者さんでは、

 長期間ベッド上で過ごすことがあります。

 そのため、

・関節拘縮

・筋力低下

・褥瘡

・深部静脈血栓症

・肺炎

 などの合併症にも注意します。

 患者さんの状態に合わせて、

 体位変換や離床、リハビリテーションなどを行います。

ひめたろ
ひめたろ

PTさんとも協力してROM運動をやったり、

定期的な体位変換が重要だよ!


心原性脳塞栓症の看護では「変化を見逃さない」ことが重要

 心原性脳塞栓症では、

 突然発症した大きな脳梗塞によって、

 重い神経症状が出現することがあります。

 特に大きな梗塞では、

 脳浮腫によって状態が悪化する可能性があります。

 そのため看護では、

 「現在の状態を知る」だけでなく、

 「前回と比べてどう変化したか」を見ることが重要です。

例⋯

・JCSがIII-100からIII-200になった

・昨日は右上肢が1Bだったが、今日は全く動かさない

・瞳孔径に左右差が出てきた

 小さな変化を捉えて報告につなげることが大切です。


まとめ:心原性脳塞栓症は「Af→血栓→脳梗塞」の流れを理解しよう

 今回は心原性脳塞栓症について解説しました。

 心原性脳塞栓症は、

 心臓でできた血栓が脳血管を詰まらせる脳梗塞です。

 原因として特に重要なのが心房細動(Af)でした。

新人ちゃん
新人ちゃん

・Afがある患者さんは脳梗塞に注意するんだ!

・心原性脳塞栓症では、

 大きな血栓によって重症化することもあるんだね

 このように、

 「心房細動→血栓形成→脳血管閉塞→神経症状

 という流れを理解しておくと、

 患者さんの状態をアセスメントしやすくなります。

 心原性脳塞栓症の患者さんを受け持つ際には、

 神経症状だけでなく、

 脳浮腫や抗凝固療法、嚥下障害、廃用症候群などにも

 目を向けて観察していきましょう。

 次回は脳梗塞の急性期でよく行われるt−PA療法について解説します。

 お楽しみに!

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