脳動脈瘤クリッピング術とは?手術の流れ・合併症・術前/術後観察を看護師向けにわかりやすく解説!

新人看護師向け

 こんにちは!

 ひめたろ🐶です。

 今回は脳動脈瘤クリッピング術について解説します!

 脳神経病棟では、

 脳動脈瘤に対してクリッピング術が行われることがあります。

 しかし、こんな疑問を持ったことはありませんか?

新人ちゃん
新人ちゃん

・クリッピングって何をしている手術なの?

・この手術の適応疾患ってなんだろう?

・術後は何を観察すればいいの?

 脳動脈瘤クリッピング術は、

 脳動脈瘤の根元をクリップで挟み、破裂を防ぐ手術です。

 脳外科では非常に代表的な開頭手術であり、

 術後管理が患者さんの予後を大きく左右します。

 この記事では、

 脳動脈瘤クリッピング術の内容から適応疾患、手術の流れ、術後管理までわかりやすく解説します!

 この記事を読むと、以下の6つのことがわかります。

・脳動脈瘤クリッピング術とはどのような手術なのか

・脳動脈瘤クリッピング術の適応疾患とは

・クリッピング術の流れ

・術後に観察すべきポイント

・起こりやすい合併症

・看護師が押さえておきたい術後管理のポイント


脳動脈瘤クリッピング術とは

動脈瘤の「根元(ネック)」を

 チタン製のクリップで挟み

 血液が動脈瘤へ流れ込まないようにする手術です。

 ポイントは、

 動脈瘤だけを血液の流れから遮断し、

 正常な血管は温存することです。

 クリップをかけても

 脳へ流れる血流は維持されます。

 そのため、

 動脈瘤は徐々に血栓化し、再破裂の危険性がほぼなくなります。

新人ちゃん
新人ちゃん

動脈瘤に血液が流れないようにするってことは

この適応疾患は動脈瘤ってこと?

ひめたろ
ひめたろ

そういうことだね。

次章ではその脳動脈瘤について触れておこうか!

 脳動脈瘤とは、

 脳の血管の一部が風船のように膨らんだ状態です。

 血管の壁が薄くなっているため、

 破裂するとくも膜下出血を起こします。

 くも膜下出血は

 突然の激しい頭痛だけでなく、

 重症例では意識障害や呼吸停止を引き起こすこともある非常に危険な病気です。

ひめたろ
ひめたろ

クリッピング術の対象となる脳動脈瘤の多くは

「ベリー動脈瘤」と呼ばれるタイプだよ!

 それではこの手術の流れについて解説します。

ひめたろ
ひめたろ

前回のCASのときと同じように手術内容を知っておこう!

①全身麻酔をかける

 ⇒頭部を専用フレームで固定し、

  動かない状態で手術を開始する。

ひめたろ
ひめたろ

患者さんを動かさず、痛みをなくし

血圧・呼吸・脳の状態を安定させて

安全にクリップをかけるため

全身麻酔をかけるよ!

②開頭する

 ⇒頭皮を切開して頭蓋骨を一時的に外す。

  その後、硬膜を開いて脳へ到達する。

③脳動脈瘤を露出させる

 ⇒脳をできるだけ傷つけないように

  脳の隙間(シルビウス裂など)を丁寧に開き、

  動脈瘤を探す。

  この操作を「顕微鏡(マイクロサージャリー)」で行う。

④脳動脈瘤の根本にクリップをかける

 ⇒動脈瘤の根元を専用クリップで挟む。

  クリップ後は血流が保たれているか

  動脈瘤へ血液が流れていないかを確認する。

  施設によっては

  術中蛍光血管撮影(ICG)やドップラーで確認する。

⑤閉創創部閉じる)する

 ⇒止血を確認し、骨を元に戻して固定する。

  最後に皮膚を縫合して終了。

⑥麻酔から覚ます

新人ちゃん
新人ちゃん

頭開くって結構グロいなあ…

それにめちゃくちゃ難しそう…

ひめたろ
ひめたろ

実際この手術では、

数mm単位の精密な操作が必要だよ。

脳動脈瘤のすぐ近くには

正常な血管や脳神経があるから

ちょっと手元が狂うと

重大な損傷につながる可能性があるんだよ…


 主に手術室で行う手術なので、

 CASほど術前準備の項目は少ないですが、

 いくつか大事なポイントがあるので確認していきましょう!

【術前日】

・担当医師による術前指示の有無を確認

・手術同意書、全身麻酔に対する同意書を確認

・患者さん本人へ、手術までの流れについて説明する

 ⇒当日何時に手術室へどの移動手段で入室するか

 ⇒手術室へ入室するまでに何をしていくのか

  (何時に内服薬を内服して、何時に術衣に着替えて…など)

 ⇒絶飲・絶食の時間

 ⇒当日内服薬の内容

・シャワーとひげ剃りの実施

・当日内服薬の確認

・決められた絶飲食の時間に合わせて食事が止められているか

 (例:手術当日の朝6時から絶飲食なら、

    手術当日の朝食は欠食にする)

・MMSE、FAB、SDSの評価

 

【手術当日】

・決まった時間に絶飲絶食ができているか確認

・絶飲食の時間から、当日内服薬の内服促し

・術衣の着替えと弾性ストッキングの装着

・手術室へ行く前に、

 手術室の看護師への申し送り内容を確認

・手術室へ行く前に、

 入れ歯があれば外し、金属類もあれば外す

新人ちゃん
新人ちゃん

うわああ!

聞いたことのないものもあるし、

わからないことが多いよ!

術前準備でよくある疑問点

 前回と同様、

 新人看護師によくある疑問点について解説します。

手術室へ行くときの移動手段まで考える必要がある?

 すべての患者さんが歩けるわけではありません。

 もちろん歩ける人であれば歩いて手術室へ行ってもらいますが…

 既往に脳卒中などで麻痺がある人であったり、

 意識状態が悪い人であったりすれば、

 車椅子やストレッチャーを利用することもあります。

ひめたろ
ひめたろ

手術当日にあわてて判断するより、

手術前日のうちにアセスメントしておこう!

手術前日は絶対シャワーしなきゃいけない?

 前回のCASでも手術前日にシャワーする必要がありますが、

 特に手術室での手術ではシャワーが必須です。

 もともと頭皮や皮膚には普段から多くの細菌が存在しています。

 手術前に全身や頭部を清潔にすることで、

 手術部位の細菌数を減らし、

 手術部位感染(SSI)のリスクを低下させることが目的です。

ひめたろ
ひめたろ

皮膚の細菌が手術部位に入り込むと、

感染を起こす危険があるよ!

MMSE、FAB、SDSの評価を手術前日にする必要があるの?

 術前には認知機能や精神状態を把握するために、

 MMSEやFAB、必要に応じてSDSなどの評価が行われます。

 これらは術後の変化を比較するための基準としても重要です。

ひめたろ
ひめたろ

実際うちの病院では手術前日と手術後1週間のときに実施するよ!

新人ちゃん
新人ちゃん

そもそもMMSE、FAB、SDSって何?!

 という人もいると思います。

 過去にMMSE、FABについて解説した記事がありますので、

 そちらを参照してください!

 MMSEとFABについて⇒ https://x.gd/5WxiU

絶飲絶食というけど、OS1とかアルジネートウォーターを飲ませるときもある?

 確かに担当医師の術前指示で

 絶飲の時間までにOS1やアルジネートウォーターを少しずつ飲水する

 といった指示が出されることがあります。

 また、患者さんによって指示された飲水ができない場合は、

 決められた時間で点滴を開始することがあります。

 手術前の脱水を防ぐためにこのような術前指示が出されることがあります。

手術前に入れ歯・金属類を外す理由は?

 入れ歯を外す理由は、

 麻酔中に外れて気道に入ることや、

 気管挿管の際に破損することを防ぐためです。

ひめたろ
ひめたろ

ちなみにひげ剃りの必要性では

ひげがあると気管挿管の際に固定するテープがうまくつかない可能性があるからだよ!

 また、金属類を外す理由は、

 手術では電気メスを使用するため、

 金属があるとやけどを起こす可能性があるからです。

 そして長時間の手術によるむくみや圧迫、

 紛失を防ぐ目的もあるため、

 アクセサリーや腕時計、指輪などの金属類は事前に外します。

新人ちゃん
新人ちゃん

とりあえず術前準備は理解できました!

 それでは次に手術後はどのように観察していくことが重要でしょうか?

 次章で解説していきます。

 では次に術後観察のポイントを解説します。

 ここが重要です!

① 意識レベルの変化

 最も重要です。

 意識レベルの変化は、

・術後出血

・脳梗塞

・脳浮腫

・水頭症

 などの合併症のサインである可能性があります。

 そのため、術後は意識状態を継続的に観察し、

 異常の早期発見に努めることが重要です。

 JCSやGCSで術前との変化を確認しましょう。

ひめたろ
ひめたろ

開頭して脳や血管を直接操作する手術だからこそ、

合併症を早期に発見することが大切なんだ!

 よく病棟で使われているJCSのやり方がわからない人は

 過去投稿で解説しているので参照して下さい。


② 瞳孔

 瞳孔所見も重要です。

・散瞳

・瞳孔不同

・対光反射消失

 がないか確認します。

 急激な瞳孔の変化は

 脳ヘルニアや術後出血の可能性があります。


③ 麻痺・失語

 術前になかった

・片麻痺

・感覚障害

・失語

 が出現していないか確認します。

 脳動脈瘤の根本につけたクリップ近くの血管が狭窄したり、

 血栓ができたりすると

 脳梗塞を起こすことがあります。


④ ドレーン排液

 施設によっては

 皮下ドレーンや硬膜外ドレーンが留置されています。

 観察するのは

・排液量

・色状

・急激な排液量の増加

 です。

 鮮血が急激に増える場合は術後出血を疑います。

ひめたろ
ひめたろ

実際うちの病院では術後ICUへ行くことがほとんどだから

あまり術後ドレーンを見ることはないんだ。

ドレーン抜いてから一般病棟へ戻ることが多いよ


⑤ 創部状態

・腫脹

・発赤

・出血

・髄液漏

・疼痛

 がないか確認します。

 髄液漏は感染や髄膜炎につながるため注意が必要です。

ひめたろ
ひめたろ

脳動脈瘤クリッピング術では

頭を開いて硬膜を切開・縫合するため、

髄液漏が起こる場合は創部から漏れることがほとんどだよ!

透明な液体が出ていないか観察しよう!


⑥ 血圧管理

 脳動脈瘤クリッピング術後は

 CASと同様、施設ごとに目標血圧が決められています。

 高血圧では術後出血の危険性が高くなります。

 一方で、低血圧では脳血流が低下し、

 脳虚血を起こすことがあります。

 医師から指示された血圧範囲内で管理することが重要です。

ひめたろ
ひめたろ

術後の血圧は高くても低くてもダメ!


⑦ 血管攣縮(くも膜下出血の場合)

 未破裂ではなく、破裂脳動脈瘤では、

 術後安心というわけではありません。

 術後4〜14日頃に血管攣縮が起こることがあります

 血管攣縮の症状として

・意識障害

・片麻痺

・失語

・構音障害

 など、新たな神経症状が出現した場合は血管攣縮を疑います。

ひめたろ
ひめたろ

血管攣縮が起こると、

脳の血管が細くなって血流が低下し

脳梗塞を起こすことがあるんだ!

この神経症状が起こっていないか、

よく観察しよう!


 代表的な合併症は以下です。

・術後出血

・脳梗塞

・脳浮腫

・創部感染

・髄膜炎

・水頭症

・血管攣縮(破裂動脈瘤例)

・てんかん発作

・髄液漏

 これらは術後早期に起こることが多いため、

 術後観察が非常に重要になります。

新人ちゃん
新人ちゃん

うわあ…

脳動脈瘤クリッピング術ってこんなに合併症があるんだね…

 

 脳動脈瘤クリッピング術は

 開頭して脳や血管を直接操作する手術です。

 そのため、術後出血や脳梗塞、脳浮腫などの合併症が起こる可能性があります。

 また、くも膜下出血の患者さんでは、

 病気そのものの影響で水頭症や血管攣縮などを生じることもあるため、術後は慎重な観察が必要です。


 それでは、看護師が押さえるポイントをまとめましょう!

意識レベルの変化を最優先で観察する

瞳孔・麻痺など神経所見を継続評価する

◎ドレーンがあれば排液量と色を確認する

血圧を指示範囲内で管理する

脳動脈瘤破裂では血管攣縮を常に意識する

術後出血や脳梗塞を早期発見する


 今回は脳動脈瘤クリッピング術について解説しました。

 脳動脈瘤クリッピング術は、

 動脈瘤の根元をクリップで挟み、再破裂を防ぐ開頭手術です。

 術後は意識レベルや神経症状の変化を早期に発見することが、

 患者さんの予後を左右します。

 特に、

 「意識・瞳孔・麻痺・血圧・ドレーン・血管攣縮」

 この6つを重点的に観察できるようになると、

 脳神経病棟で大きな強みになります。

 開頭して脳や血管を直接操作する手術であるため

 合併症は多く、

 発症すると重症化する可能性があります。

 十分に観察していきましょう!

 それではまた次回!

MMSEとFABについて⇒ https://x.gd/5WxiU

瞳孔の見方⇒ https://x.gd/lbI57

意識状態の見方⇒ https://x.gd/LEFi2

運動麻痺の見方⇒ https://x.gd/EZkiv

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