こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回は、脳動脈瘤コイル塞栓術について解説したいと思います!
脳動脈瘤に対する手術として、
前回はクリッピング術がありましたが、
コイル塞栓術もあります。
しかし、こんな疑問はありませんか?

・脳動脈瘤コイル塞栓術って何?
・クリッピング術と何が違うの?
・コイル塞栓術特有の合併症ってなんだろう?
・術後は何に注意して見ていけば良い?
コイル塞栓術とクリッピング術の違いも踏まえつつ、
術後看護や合併症についてもわかりやすく解説します!
早速見ていきましょう!
目次
この記事でわかること
この記事を読むと次のようなことがわかります!
・そもそもコイル塞栓術とはなにかわかる
・コイル塞栓術の流れがわかる
・コイル塞栓術とクリッピング術との違いがわかる
・術前または術後になぜ抗血小板薬を内服するのかわかる
・コイル塞栓術後の観察ポイントがわかる
・コイル塞栓術特有の合併症がわかる

小さな疑問から基本的なことまで、
理解することで日々の看護に生かされるよ!
一緒に頑張ろう!
【復習】脳動脈瘤とは?
前回の脳動脈瘤クリッピング術の記事でも説明しましたが、
一応復習として解説しておきます!
脳動脈瘤とは
…脳の血管の一部が風船のように膨らんだ状態のこと。
この膨らみ(脳動脈瘤)が破裂すると、
命に関わるくも膜下出血を引き起こします。
そのため、破裂する危険性が高いと判断された場合には、
予防的な治療が行われます。
その代表的な治療がこの主な2つ!
・クリッピング術
・コイル塞栓術
なのです!

脳動脈瘤クリッピング術ってなんだろう?と
思った人はその記事のURLを下記に貼っておくので
参照してください!
・脳動脈瘤クリッピング術⇒ https://x.gd/xL0G0
脳動脈瘤コイル塞栓術とは?
脳動脈瘤コイル塞栓術とは?
…足の付け根(大腿動脈)や手首(橈骨動脈)から
細いカテーテルを挿入し、
脳動脈瘤の中へプラチナ製のコイルを詰める治療のこと。
頭を開けずに治療できるため、
身体への負担が比較的小さい(低侵襲)治療です。
なぜコイルを入れるだけで破裂を防げるの?
動脈瘤の中へ血液が流れ込むことで、
血管壁には常に圧力がかかっています。
そこへコイルを入れると、
血液の流れがゆっくりになることで血液が固まりやすくなり、
動脈瘤の中で血栓が形成されます。
その血栓によって動脈瘤内への血流が減少し、
動脈瘤が破裂しにくい状態になります。

あえてコイルという異物をいれることで
血栓をできやすくして
動脈瘤に血液が流れないようにするって
考えた人は頭がいいよね…!

コイル塞栓術の流れ
それではここでも脳動脈瘤コイル塞栓術の流れを説明します。
① 全身麻酔をかけて気管挿管
② 大腿動脈または橈骨動脈を穿刺
③ カテーテルを脳血管まで進める
④ 動脈瘤内へマイクロカテーテルを誘導
⑤ コイルを少しずつ留置する
⑥ 血流を確認
⑦ カテーテル抜去・止血
手術時間は約2~4時間程度ですが、難易度によって異なります。

※術前準備については、基本的にクリッピング術と共通する部分が多いため、詳しくはクリッピング術の記事をご覧ください。
・脳動脈瘤クリッピング術⇒ https://x.gd/xL0G0

なんだか聞き慣れない言葉とちょっとした疑問があるんだけど…?
ここでも脳動脈瘤コイル塞栓術についてのよくある疑問点に答えましょう!
よくある疑問点
鼠径部か橈骨部分からカテーテル入れるってことは局所麻酔の場合もあるの?
結論から言うと、
現在ではコイル塞栓術は全身麻酔で行われることが多いです。
以前は局所麻酔で行われる施設も少なくありませんでしたが、
近年は全身麻酔が主流になっています。
理由は次のとおりです。
・患者さんが全身麻酔により動かないため、
安全にカテーテル操作ができる。
・呼吸や血圧を安定して管理しやすい。
・動脈瘤内で繊細な操作を行うため、
わずかな体動でも危険になる。
・術中に破裂などの緊急事態が起きても、
すぐに対応しやすい。
一方で、局所麻酔で行う施設もあります。
特に、患者さんの状態や施設の方針によっては、
局所麻酔+鎮静で実施されることもあります。

うちの病院でも全身麻酔で行われるよ!
全身麻酔か局所麻酔かは
勤務している病院の方針を確認しようね!
マイクロカテーテルってどういうもの?
マイクロカテーテルとは、
脳の細い血管や動脈瘤の中まで安全に進めるための、
非常に細く柔らかいカテーテルです。
このマイクロカテーテルを通して、
プラチナ製のコイルを1本ずつ動脈瘤内へ留置します。
血流を確認ってどういうふうに確認するの?
コイルを留置した後は、カテーテルから造影剤を注入し、
脳血管造影(DSA)で動脈瘤内への血流が遮断されているか、
また親血管の血流が保たれているかを確認します。
必要に応じてコイルを追加し、
十分な塞栓が得られたことを確認してから治療を終了します。
コイルってどのくらい入れるの?
コイルは1本で終わるわけではなく、
動脈瘤の大きさや形に合わせて複数本を少しずつ留置します。
必要な本数は症例によって異なり、
小さな動脈瘤では数本程度、
大きな動脈瘤では数十本使用することもあります。
クリッピング術との違い
ここで脳動脈瘤クリッピングとの違いを見ていきましょう!
| 項目 | コイル塞栓術 | クリッピング術 |
|---|---|---|
| 方法 | カテーテル治療 | 開頭手術 |
| 傷 | 穿刺のみ | 開頭創あり |
| 身体への負担 | 比較的小さい | 比較的大きい |
| 術後回復 | 比較的早い | やや時間がかかる |
| 再発 | 再開通することがある | 再発しにくい |
| 術後フォロー | 定期的な画像検査が重要 | 比較的少ない |
クリッピング術は動脈瘤の根元をクリップで閉じるため再発しにくいです。
一方、コイル塞栓術は身体への負担が少ないというメリットがあります。
患者さんの年齢や全身状態、動脈瘤の大きさ・形・部位などを総合的に判断して治療法が選択されます。

担当医師が患者さんの総合的な身体状態をみて判断はするんだけど、もちろん患者さんとその家族へICして決めていくよ!
なぜ抗血小板薬を使用するの?
コイル塞栓術前では抗血小板薬を内服する指示があります。

そういえば術前指示で抗血小板薬の内服あったかも…
それにしてもなんでだろう??
このように疑問に思う方も多いでしょう。
実は、動脈瘤の中では血栓を作りたい一方で、
正常な血管では血栓を作りたくありません。
コイルやステントは体にとって異物です。
そのため血小板が集まって血栓ができることがあります。

だけどこの血栓が脳の血管へ飛ぶと、
脳梗塞を起こす危険があるんだよ…!
そこで抗血小板薬を使用し、
正常な血管内で血栓ができることを防ぎます。
特にステントアシストコイル塞栓術では、
ステントに血栓が付着しやすいため、
アスピリンとクロピドグレルなど2剤の抗血小板薬を一定期間内服することが一般的です。

ステントアシストコイル塞栓術って何?

ステントでコイルが飛び出さないように
支えながら行うコイル塞栓術のことだよ!
動脈瘤の入口が広い場合でも、
コイルが飛び出さないようにするんだ
術後に観察するポイント
では、術後観察について簡単に解説しましょう!
基本的に脳動脈瘤クリッピング術と変わりない観察項目もありますが、
復習もかねて見ていきましょう!
① 神経症状
最も重要な観察項目です。
もう耳にタコができるほどに聞き慣れましたか?
・JCSなど意識状態の変化
・瞳孔、対光反射の評価
・運動麻痺の評価
・構音障害、失語の有無
脳梗塞や再出血を早期に発見するため、
小さな変化も見逃さないようにします。
② 穿刺部の観察
コイル塞栓術では、
大腿動脈(鼠径部)か橈骨動脈に穿刺します。
そのため穿刺部位の観察は必須です。
観察項目は以下の通りです。
・出血
・血腫
・腫脹
・疼痛
・末梢循環(橈骨動脈アプローチの場合)
止血が不十分だと出血性合併症につながるため、
定期的な確認が必要です。

術後は圧迫固定を行い、
止血が確認できるまで安静が必要になるよ!
穿刺部位が鼠径部の場合、
止血できるまで穿刺した方の下肢は動かせないよ!
もし動く可能性がある、本人が動かすかもしれないと不安があるときは
主治医・本人と相談して抑制を検討することもあるんだ。
※圧迫時間については施設によって異なります。

なんで橈骨動脈から穿刺の場合は
末梢循環を見なきゃいけないの?
橈骨動脈からカテーテルを挿入した場合は、
血栓や血管攣縮などにより手への血流が低下することがあります。
そのため、手の色や冷感、しびれ、指の動きなどを観察し、
末梢循環に異常がないか確認する必要があるのです。
③ 血圧管理
高血圧では再出血のリスクが高まり、
低血圧では脳虚血を起こす可能性があります。
医師の指示範囲内で血圧を管理します。

術後血圧高値であれば、
指示によってはニカルジピンを使用することがあるね!
一方低値であれば必要に応じて
昇圧薬(ノルアドレナリンなど)を使用することがあるよ!
ニカルジピンを使用する際の注意点について、
過去投稿で解説していますので、そちらを参照して下さい!
・ニカルジピンを使用する際の注意点⇒ https://x.gd/xcvOy
④ 抗血小板薬による出血
抗血小板薬を使用しているため、
・穿刺部出血←重要!
・鼻出血
・歯肉出血
・血尿
・黒色便
などの出血症状にも注意します。
⑤ 造影剤による腎障害
コイル塞栓術では造影剤を使用するため、
・尿量の変化
・Cr(クレアチニン)の術前後の変化
⇒男性:約 0.6~1.1 mg/dL
女性:約 0.4~0.8 mg/dL
・eGFR
⇒60 mL/min/1.73㎡以上が目安(90以上で正常)
などを確認し、腎機能の悪化がないか観察します。
術後の合併症
今までにちょこちょこ合併症も挙げていましたが、
ここではもう一度まとめて解説します。
① 術中の動脈瘤破裂
カテーテルやコイルを操作している最中に、
動脈瘤が破裂することがあります。
頻度は高くありませんが、
くも膜下出血が急激に悪化する危険があり、緊急対応が必要です。
術後は意識レベルの低下や瞳孔不同、
麻痺の出現などがないか注意深く観察します。

動脈瘤が破裂?!
大量出血で明らかにやばいじゃん!

命の危険を感じるよね…
術後は神経症状や意識状態をよく見ていこう!
② 脳梗塞
コイルやステントに血栓が付着したり、
カテーテル操作によって血栓が飛んだりすると、
脳の血管が詰まることがあります(脳梗塞になる…)。
そのため、術後は
・JCS
・運動麻痺
・構音障害、失語の有無
・NIHSSの変化
などを確認し、神経症状の変化を早期に発見することが重要です。

うちの病棟ではNIHSSは術前日と術後1週間に行うよ!
術後すぐは麻酔や鎮静の影響が残っていることがあり、
正確な評価が難しいためだよ
NIHSSの術前術後で行うタイミングは勤めている病院のルールや方針に従ってください。
③ 穿刺部出血・血腫
コイル塞栓術では、大腿動脈や橈骨動脈を穿刺するため、
止血が不十分だと出血や血腫を生じることがあります。
特に抗血小板薬や抗凝固薬を使用している患者さんでは出血しやすいため、
出血や腫脹、疼痛などを観察します。
④ 血管攣縮(破裂脳動脈瘤の場合)
くも膜下出血後には、
数日〜約2週間程度の間に脳血管が収縮する血管攣縮が起こることがあります。
血流が低下すると脳梗塞を引き起こすため、
意識レベルや神経症状に注意します。
⑤ 造影剤腎症
コイル塞栓術では造影剤を使用するため、
腎機能が低下している患者さんでは造影剤腎症を起こすことがあります。
術後は尿量やCr、eGFRを確認し、腎機能が悪化していないか観察します。
⑥ 再開通・再発
コイル塞栓術では、時間の経過とともにコイルが圧縮されたり、
動脈瘤内へ再び血液が流れ込んだりすることがあります。
これを再開通といいます。
再開通すると、再治療が必要になる場合があるため、
退院後も定期的にMRAや脳血管造影で経過を確認します。

クリッピング術では再開通はほぼないから、
コイル塞栓術特有の合併症だね
まとめ
今回は、脳動脈瘤コイル塞栓術について解説しました!
コイル塞栓術は、カテーテルを用いて動脈瘤内にコイルを留置し、
血栓を形成させることで破裂を予防する低侵襲な治療です。
クリッピング術に比べて身体への負担は少ない一方で、
再開通や血栓形成など、血管内治療特有の注意点があります。
看護師は、
神経症状の観察、穿刺部の管理、血圧管理、抗血小板薬による出血の有無を重点的に確認し、
異常の早期発見に努めることが重要です。
クリッピング術との違いも踏まえつつ、
術前・術後看護へつなげていきましょう!
それではまた次回!
関連記事
・脳動脈瘤クリッピング術⇒ https://x.gd/xL0G0
・MMSEとFABについて⇒ https://x.gd/5WxiU
・瞳孔の見方⇒ https://x.gd/lbI57
・意識状態の見方⇒ https://x.gd/LEFi2
・運動麻痺の見方⇒ https://x.gd/EZkiv
・ニカルジピンを使用する際の注意点⇒ https://x.gd/xcvOy


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