【新人看護師向け】頚椎椎弓形成術とは?術後の観察ポイント・ネックカラーの理由をわかりやすく解説

新人看護師向け

 こんにちは!

 ひめたろ🐶です。

 脳神経外科病棟では、

 頚椎椎弓形成術(けいついついきゅうけいせいじゅつ)を受けた患者さんを受け持つことがあります。

 術後はネックカラーを装着していることが多く、

患者さん
患者さん

首の後ろがすごく痛い……

腕が上がりにくい……

 と訴える場面も少なくありません。

 新人看護師さんの中には

 以下のような疑問を持った方もいると思います。

新人ちゃん
新人ちゃん

・椎弓形成術ってどんな手術?

・ネックカラーはなぜ付けるの?

・術後は何を観察すればいいの?

 この記事では、頚椎椎弓形成術の基本から術後の観察ポイントまで、

 新人看護師向けにわかりやすく解説します。

 この記事を読むと以下のことがわかります。

・頚椎椎弓形成術とはどんな手術かわかる

・頸椎椎弓形成術の適応となる疾患がわかる

・頚椎椎弓形成術の流れが理解できる

・頚椎椎弓形成術後に観察するポイントがわかる

・注意すべき術後合併症が理解できる

 それでは早速見ていきましょう!

頚椎椎弓形成術とは?

…首の後ろにある「椎弓」という骨を開いて

 脊髄の圧迫を取り除く手術のこと

新人ちゃん
新人ちゃん

骨を開くって結構すごい手術だな…

 脊髄は脳から続く重要な神経の通り道ですが、

 加齢による変形や靱帯の骨化などによって

 通り道が狭くなることがあります。

 そこで椎弓をドアを開くように広げ

 脊髄が圧迫されないようスペースを確保します。

 骨を完全に取り除く「椎弓切除術」とは異なり、

 椎弓を残したまま広げて固定することが特徴です。

 椎弓形成術は、

 脊髄が広範囲に圧迫されている場合に選択されることが多い手術です。

頚椎症性脊髄症

 最も多い適応疾患です。

 加齢によって椎間板や骨が変形し、

 脊髄を圧迫することで症状が現れます。

 主な症状は以下のとおりです。

・手のしびれ

・ボタンがかけにくい

・箸が使いにくい

・歩きにくい

・手足の筋力低下

 これらの症状が進行すると日常生活に大きな支障をきたすため、

 手術が検討されます。

後縦靱帯骨化症(OPLL)

 後縦靱帯が骨のように硬くなる病気です。

ひめたろ
ひめたろ

この病気も病棟でしばしば見るよ

 骨化した靱帯が脊髄を圧迫するため、

 手足のしびれや歩行障害が起こります。

 日本人に比較的多く、

 多椎間にわたる場合は椎弓形成術が選択されることがあります。

頚椎管狭窄症

 頚椎の神経の通り道そのものが狭くなっている状態です。

 複数の椎間にまたがる狭窄では、

 椎弓形成術が適応となることがあります。

 一般的な手術の流れを紹介します。

① 全身麻酔

 ⇒患者さんは全身麻酔で眠った状態で手術を受ける。

② 腹臥位になる

 ⇒うつ伏せになり、

  頭部を専用器具でしっかり固定

  頚椎に負担がかからないよう慎重に体位を調整。

③ 首の後ろを切開する

 ⇒後頚部を縦方向に切開し、

  筋肉を剥離して椎弓を露出

  この筋肉の剥離が、

  術後の強い創部痛につながる。

④ 椎弓を開く

 ⇒片側を蝶番のように残し

  反対側を開いて脊髄のスペースを広げ

  開いた状態を維持するために、

  スペーサー、プレートなどで固定。

⑤ ドレーン留置・閉創

 ⇒必要に応じてドレーンを留置し、

  創部を閉じて手術終了。

 手術時間はおよそ2〜4時間程度が一般的です。

 病院によって異なりますが、一般的な術前準備を紹介します。

 術前日・術当日についての術前準備は、過去投稿にある

 全身麻酔下での脳動脈瘤クリッピング術の術前準備

 とほぼ同じなので割愛します。

 気になる人は下の過去投稿をクリック!

ひめたろ
ひめたろ

術前準備で違うところといえば、

脳を直接いじるわけではないので、

MMSEやFABの評価はしなくてもいいってことくらいかな

術前での患者指導

 術後はネックカラーを装着することや、

 首の後ろに痛みが出やすいことを事前に説明しておくと、

 患者さんの不安軽減につながります。

ひめたろ
ひめたろ

術前は患者さんはとても不安な気持ちだと考えられるから

事前に術後の様子を説明しておくと親切だよ!

 ここが新人看護師にとって最も重要な部分です。

神経症状の変化(最優先)

 術前より悪化していないかを確認します。

 これは今までの手術シリーズで必ず観察していた項目だね!

・JCS

・上肢・下肢の筋力

・手足のしびれ

・感覚障害

・離握手ができるかどうか

・歩行状態の様子

 椎弓形成術は頚椎の脊髄を圧迫から守る手術であるため、

 四肢の運動機能やしびれの変化は最優先で観察する項目です。

 患者さんが

患者さん
患者さん

手が動かしにくくなった

 と訴えた場合は、早めに報告が必要です。

新人ちゃん
新人ちゃん

この観察項目にある「離握手」ってなに?

離握手とは?

…看護師の指を握ったり離したりしてもらい

 手の動きや筋力を確認する方法

 術後観察として、

 しっかり握れるか、左右差はないかを見るために必要な項目です。

創部痛

 実際の病棟でも非常によく見られる症状です。

 手術で後頚部の筋肉を大きく剥離するため、

患者さん
患者さん

・首の後ろがズキズキする

・寝返りで痛い

・座るだけでも痛い

 と訴える患者さんが多くいます。

 そのため、以下のような観察・看護が必要です。

・NRSで疼痛評価

・鎮痛薬使用時の効果確認

・離床前の疼痛コントロール

 痛みが強いと離床が進まないため、疼痛管理は重要です。

ドレーン管理

ドレーン留置中は、

・排液量

・色調

・急激な増加の有無

 を確認します。

 急な出血が疑われる場合は速やかに報告します。

ネックカラーの確認

 術後はネックカラーを装着している患者さんが多く見られます。

 ネックカラー使用の時、以下のことに注意して見ていきましょう。

・顎が正しく乗っているか

・ネックカラーがゆるすぎたり締めすぎたりしていないか

・装着部分の皮膚状態

 ⇒発赤やそう痒感の有無の確認

ネックカラーを装着する理由

新人ちゃん
新人ちゃん

それにしてもなんでネックカラーを装着するの?

 ネックカラーは、

 手術後の首を安定させて余計な動きを防ぎ

 痛みを軽減するために装着します。

嚥下状態

 頚椎手術後は、

 喉の違和感・飲み込みにくさがみられることがあります。

 食事開始後は、

・むせの有無

・咳の有無

 にも注意して観察します。

ひめたろ
ひめたろ

術後は飲水テストを行って誤嚥がないかみたり、

食事開始の際は最初の数分間観察して、

むせがないか見ていくことが多いよ!

早期離床時の観察

 術後1日目から早期離床を開始する施設が多いです。 

 ※術後の状態にもよるので一概には言えません。

  医師の指示をあらかじめ確認しましょう。

 早期離床時には、以下のことを確認しながら介助を行います。

・めまい

・ふらつき

・血圧変動の有無

・創部疼痛の有無と程度

ひめたろ
ひめたろ

術後の早期離床では血圧変動の所見は必ず行うよ!

 術後合併症では

C5麻痺

 椎弓形成術で特に覚えておきたい合併症です。

C5麻痺とは?

第5頚神経(C5神経)の働きが弱くなることで

 肩を横に上げたり、肘を曲げたりしにくくなる状態。

 そのため、C5麻痺の症状としては以下のとおりです。

・肩が上がらない

・腕が挙げにくい

・三角筋の筋力低下

・上腕二頭筋の筋力低下

 術前後で肩の動きを比較することが重要です。

 発症は術後すぐとは限らず、数日後に出現することもあります

ひめたろ
ひめたろ

術後毎日、両上肢の動きを確認しよう!

術後血腫

新人ちゃん
新人ちゃん

術後血腫ってどこにできるの?

創部?それとも椎弓?

頚椎椎弓形成術後の血腫とは?

手術部位(脊柱管内や筋肉の深いところ)に血液がたまり

(これが血腫)、脊髄を圧迫してしまう合併症。

 ここでの観察ポイントは以下のとおりです。

・首の腫れ

・神経症状の悪化

 ⇒四肢筋力低下、しびれの有無

・強い疼痛の有無

 異常があれば速やかに報告します。

創部感染

 創部感染もありえます。

 観察ポイントは以下の通りです。

・発熱

・発赤

・腫脹

・排膿の有無

 術後数日経ってから出現することもあるため

 継続した観察が必要です。

 ここでもよくある質問に答えていきましょう!

Q1. ネックカラーはいつまで付けるの?

 病院や術式によって異なります。

 数日で外す場合もあれば、数週間装着する場合もあります。

 必ず医師の指示を確認しましょう。

Q2. なぜ首の後ろがこんなに痛いの?

 後頚部の筋肉を大きく剥離するためです。

 そのため創部痛を訴える患者さんは非常に多く、

 適切な疼痛管理が離床促進につながります。

Q3. 手のしびれはすぐ治る?

 手術によって圧迫は解除されても、

 神経の回復には時間がかかることがあります。

 数週間から数か月かけて改善するケースもあります。

Q4. C5麻痺はなぜ起こるの?

 結論、はっきりした原因は完全には解明されていません

 脊髄が後方へ移動することで神経根に負担がかかること

 などが原因として考えられています。

 術後数日経ってから肩が上がりにくくなることもあるため、

 継続した観察が重要です。

 今回は、頚椎椎弓形成術について解説しました。

 頚椎椎弓形成術は、

 狭くなった脊髄の通り道を広げるために行われる手術です。

 術後はネックカラーを装着することが多く、

 創部痛や神経症状の変化に注意した観察が欠かせません。

 新人看護師はまず、神経症状や創部痛

 ネックカラーの装着状態、C5麻痺の有無を観察していきましょう!

 これらを意識して観察できるようになると、

 異常の早期発見につながります。

 それではまた次回!

 今回の記事で関連のある過去投稿を下記に示します。

・脳動脈瘤クリッピング術

・運動麻痺の評価方法

・JCSの見方

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