こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回は「硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula:dAVF)」について解説します!
脳神経病棟では、硬膜動静脈瘻(dAVF)の患者さんを受け持つことがあります。
しかし、このような疑問を持ったことはありませんか?

・硬膜動静脈瘻ってどんな病気なの?
・AVM(脳動静脈奇形)とは何が違うの?
・どんな治療をするの?
・術後は何を観察すればいいの?
・後鼻漏ってどうしてそんなに重要なの?
硬膜動静脈瘻は比較的まれな疾患ですが、
放置すると脳出血や神経障害を起こす可能性があります。
また、病変の部位によっては経鼻内視鏡手術が行われることがあり、
術後は「髄液漏(後鼻漏)」などの合併症にも注意しなければなりません。
そこで今回は、
硬膜動静脈瘻の病態・治療・術後管理・髄液漏の観察ポイントについて、
看護師向けにわかりやすく解説します!
目次
硬膜動静脈瘻(dAVF)とは?
硬膜動静脈瘻(dAVF)とは、
本来なら毛細血管を通るはずの血液が、
硬膜内で動脈と静脈が異常につながってしまう病気(下図)です。
その結果、
静脈へ高い圧力がかかり、
脳の血液循環に異常が生じます。
放置すると、以下のような症状・疾患を起こすリスクがあります。
・脳出血
・脳梗塞
・けいれん
・神経障害

「瘻(ろう)」っていうのは、
本来つながってはいけない場所同士が
つながってしまう状態のことなんだ!

原因は?
はっきりした原因は分かっていませんが、
・静脈洞血栓症
・頭部外傷
・頭蓋内手術
・加齢
などが関与し、
後天的に発症すると考えられています。
どんな症状が出るの?
発生する場所によって症状は異なりますが、
代表的には以下のような症状があります。
・拍動性耳鳴り
・頭痛
・めまい
・複視
・眼球突出
・けいれん
・手足の麻痺

耳鳴りだけで見つかることもあるんだ!

「ドクドク」「ザーザー」
って脈に合わせた耳鳴りは
特徴的な症状の一つだよ!
AVMとの違いは?
新人看護師さんが混同しやすいのが
「脳動静脈奇形(AVM)」です。
以下に違いを表に示したので、
確認してみましょう!
| 硬膜動静脈瘻(dAVF) | AVM |
|---|---|
| 硬膜にできる | 脳実質にできる |
| 後天性が多い | 先天性が多い |
| 中高年に多い | 若年者にもみられる |
また、AVMでは、動脈と静脈の間に「ナイダス」と呼ばれる異常血管の塊が形成されます。
一方、dAVFではナイダスは形成されず、
硬膜内で動脈と静脈(静脈洞)が直接交通していることが特徴です。

あの…
そもそも脳動静脈奇形(AVM)ってなに?
こういう人もいると思うので、
その疾患についてはまた他の記事で解説しますね。
検査
硬膜動静脈瘻の診断のためには
以下の検査が行われます。
・頭部CT
・MRI・MRA
・脳血管造影(アンギオ)
特に確定診断には、
「脳血管造影検査(アンギオ)」が重要になります。

アンギオについては
以前の記事で詳しく解説しているから
ぜひ参考にしてね!
脳血管造影検査(アンギオ)⇒ https://x.gd/gNwYH
治療方法
病変の場所や血流によって治療法が異なります。
主な治療法は以下があります。
・血管内治療(塞栓術)
・開頭手術
・経鼻内視鏡手術(頭蓋底病変など)
患者さんごとに、
最も適した治療法が選択されます。
頭蓋底手術後は髄液漏(後鼻漏)に注意!
頭蓋底病変に対して経鼻内視鏡手術を行った患者さんでは、
「髄液漏(CSF leak)」が起こることがあります。
髄液漏が続くと、
鼻腔内の細菌が頭蓋内へ侵入し、
髄膜炎を発症する危険があります。
そのため、
術後は髄液漏の早期発見が非常に重要です。

文字だけで見ると、
わかりにくいと思うから
下に図で説明してみたよ!
参考にしてね!

髄液漏ではどんな症状が出るの?
術後は以下のような症状がないか観察します。
・透明でサラサラした鼻汁
・「鼻水が喉へ流れる感じ(後鼻漏)」
・前かがみになると鼻汁が増える
・発熱
・頭痛
・項部硬直
・意識レベルの低下

「ただの鼻水かな?」
と思ってしまいやすいけど、
術後患者さんでは
髄液漏の可能性も考えて
観察することが大切なんだ!
後鼻漏が続くとどうなるの?
術後の後鼻漏の原因が髄液漏であった場合、
鼻腔内の細菌が頭蓋内へ侵入し、
髄膜炎を起こす危険があります。
そのため髄液漏が続く場合には、
「スパイナルドレナージ(腰椎ドレナージ)」を留置し、
髄液圧を下げることで
漏れた部分が閉じやすくなるよう治療することがあります。

実際過去に術後複数回後鼻漏があって
スパイナルドレナージを繰り返した患者さんもいます…

・スパイナルドレナージってなんだっけ?
・スパイナルドレナージ?
聞いたことがありません!
スパイナルドレナージについても過去に記事を投稿しているので
よかったら下のURLから確認してみてください!
スパイナルドレナージ⇒ https://x.gd/6ogiq
看護師が観察したいポイント
硬膜動静脈瘻(dAVF)術後の観察項目を以下に挙げていきます。
① 意識レベル
⇒JCS・GCSで変化がないか確認
② 神経症状
⇒麻痺・構音障害・瞳孔異常
③ 後鼻漏の有無
⇒透明な鼻汁が出ていないか
⇒片側の鼻から鼻汁が出る
⇒前かがみで増えないか
⇒鼻漏があれば、ティッシュにとって
ダブルリングサインの有無を観察する

④ 発熱
⇒髄膜炎の初期症状(特に注意する症状↓)
・発熱
・激しい頭痛
・項部硬直
⑤ 頭痛
⇒急激な悪化がないか
⑥ 創部の状態
⇒出血・感染徴候の有無
(⑦ スパイナルドレナージがあればこれも観察要)
⇒排液量
⇒排液性状
⇒刺入部
⇒感染徴候
これら観察項目の関連記事は、
この記事の「関連記事」の章でまとめました!
是非参考にしてください!
実際に硬膜動静脈瘻の患者さんを担当したひめたろ体験談
私が担当した患者さんでは、
頭蓋底病変に対して経鼻内視鏡手術を受けていました。
術後は麻痺や意識状態だけではなく、
後鼻漏の有無を重点的に観察していました。

なんか鼻水が喉に流れる感じがするんだよねえ(ズズッ)
このような訴えがあれば、
単なる鼻水とは決めつけず、
髄液漏の可能性も考えながら観察し、
ティッシュに鼻汁をとって
速やかに医師へ報告していました。

そのときはダブルリングサインはなかったし、
鼻汁もその時すぐ止まったから
主治医に報告したら
経過観察って言われたからそのままにしてたけど…
次の日、やはり再度鼻汁が出てしまったんですよね。
再度ティッシュにとってみるとダブルリングサインがあり、
その後、髄液漏と診断され、
スパイナルドレナージを留置して保存的治療が行われました。

この患者さんの場合、
これを2回繰り返したから
スパイナルドレナージを2回も留置して、
患者さん自身も大変だったろうなあと
今は思います!
]
他の患者さんでも実際に髄液漏が疑われる場合では、
スパイナルドレナージを留置して
髄液圧を下げる治療が行われることもありました。

術後は「鼻水」という何気ない訴えでも、
その背景に髄液漏が隠れている可能性があるんだ。
だから患者さんの小さな変化を見逃さないことが、
看護師にはとても大切なんだね!
関連記事
今回の記事で出てきた観察項目や検査について
もっと詳しく知りたい方は、
こちらの記事もおすすめです。
・脳血管造影(アンギオ)とは?
・スパイナルドレナージ管理
・JCS(Japan Coma Scale)の見方
・瞳孔の観察ポイント
・運動麻痺の評価方法
まとめ
今回は、硬膜動静脈瘻(dAVF)について解説しました!
硬膜動静脈瘻(dAVF)は、
硬膜内で動脈と静脈が異常につながる疾患です。
治療には血管内治療や開頭手術、
病変によっては経鼻内視鏡手術が行われます。
特に頭蓋底手術後では、「髄液漏(後鼻漏)」に注意し、
髄膜炎などの重篤な合併症を予防することが重要です。
看護師は、
・意識レベル
・神経症状
・後鼻漏
・発熱
・頭痛
・創部
などを継続的に観察し、
異常の早期発見に努めましょう!
それではまた次回!


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