こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回は、下垂体腫瘍術後に注意したい『尿崩症(DI)とSIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)』について解説します!
脳神経病棟では、下垂体腫瘍の患者さんが手術を受けることがあります。
術後になると、様々な観察をしなければいけませんが、
こんなことを思ったことはありませんか?

確かに…だけど…
・なんで脳の手術なのに尿量を見るの?
・そもそも下垂体の手術ってなにをしているの?
・術後注意する尿崩症、SIADHって何?
実は、下垂体は体内の水分バランスを調節するホルモンとも深く関係しており、
その下垂体を手術するということは
術後、尿量や電解質の変化を注意深く観察することが必要になってくるのです。
今回は、下垂体腫瘍と術後に注意したい合併症についてわかりやすく解説していきます!
目次
そもそも下垂体の働きとは?
下垂体は脳の底にある、
直径約1cmほどの小さな臓器です。
しかし、この小さな臓器からは、
以下のような体全体を調節するさまざまなホルモンが分泌されています。
・成長ホルモン
・甲状腺刺激ホルモン
・副腎皮質刺激ホルモン
・性ホルモン
そのため、下垂体は「ホルモンの司令塔」とも呼ばれています。

下垂体手術って何をするの?
下垂体手術の多くは下垂体にできた腫瘍を取り除くために行われます。
鼻から内視鏡を入れて腫瘍を摘出する
経鼻内視鏡下手術が一般的です。

え!下垂体に腫瘍なんてできるの・・・?

多くは良性のものが多いんだけど、
下垂体に腫瘍ができると不都合なことがあるんだよ
下垂体腫瘍とは?
下垂体腫瘍とは、下垂体にできる腫瘍です。
多くは良性腫瘍ですが、
腫瘍が大きくなることで周囲を圧迫したり、
ホルモンが過剰または不足したりすることがあります。
下垂体腫瘍があることでの症状を以下に挙げます。
・視野障害
・頭痛
・手足が大きくなる(成長ホルモン過剰)
・月経異常 など…
下垂体腫瘍摘出術は開頭しないことが多い

下垂体腫瘍があるとこれだけ症状がでるとは…
良性腫瘍とはいえ、取らないといけないわ
それにしても経鼻的ってことは頭を開けないんだね?
下垂体腫瘍摘出術では
鼻の奥から下垂体へ到達するため、
開頭せずに手術を行えることが多いです。
しかし、下垂体はホルモンを調節する重要な場所なので、
術後もしばらくは慎重な観察が必要になります。
なぜ術後は尿量を見るの?

術後はよく尿量を見るよね?
しかも最初は1時間ごととか…
なんでこんなに細かく見なきゃいけないの?
実は下垂体は、
「抗利尿ホルモン(ADH)」という体内の水分量を調節するホルモンと深く関係しています。
手術の影響でこの働きが一時的に乱れることがあり、
尿量が急激に変化することがあります。
そのため、以下の項目を継続して観察する必要があるのです。
・1時間尿量
・24時間尿量
・血液検査(NaやKなどの電解質など)
・IN・OUTバランス
下垂体腫瘍摘出術後に起こりやすい合併症2選!
術後起こりやすい合併症として尿崩症とSIADHがあります。
①尿崩症(DI)とは?
先程の章でも挙げた尿崩症とは、
抗利尿ホルモンが十分に働かなくなり、大量の尿が出てしまう状態です。
すると、以下の症状が出てくる可能性があります。
・尿量が増える
・脱水になる
・口渇が強くなる
・血液中のNa値が高くなる

下垂体術後で急に尿量が増えたら、
「尿崩症かもしれない!」
という視点が大切だよ!

尿量が多くなるって言うけど、
何がそんなに問題なの?
尿量が多いと何が問題?
下垂体術後に尿崩症(DI)を起こすと、
この調節がうまくできなくなり、
身体に必要な水分まで大量に尿として排泄されてしまいます。
必要以上に体外へ水分が出てしまうと
以下のような症状が出てくることがあります。
・脱水になる
・口が渇く(口渇)
・血液中のナトリウム濃度が上昇する(高ナトリウム血症)
・血圧が低下する
・意識障害を起こす

これは確かに大変な症状だね…
じゃあ逆に水分をためこみすぎるってこともあるのかな?
下垂体腫瘍摘出後では尿が出ないということもあるのです。
次はその合併症について解説しましょう!
②SIADHとは?
一方で、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)では、
抗利尿ホルモンが過剰に働いてしまいます。
つまり、尿量が減るのです。
そうすると、体内に水分がたまりやすくなったり、
それにより血液中のナトリウム濃度が薄まり、
低ナトリウム血症になったりするのです。
これが重症化すると、
意識障害やけいれんを起こすこともあるため注意が必要です。

尿量がたくさんの場合も、少ない場合も大変なことなんだよ!
なんでも「適切な量」が大事だね
看護師が観察するポイント
下垂体術後では、次のような点を重点的に観察します。
・1時間尿量
・24時間尿量
・飲水量
・口渇の有無
・体重の変化
・血清Na値
・意識状態
また、尿量だけを見るのではなく、
患者さんの症状や検査データと合わせてアセスメントすることが重要です。
尿崩症とSIADHの違い まとめ
一度ここで術後よく起こりやすい合併症2選を表でまとめてみます。
復習するときにお使いください!
| 項目 | 尿崩症(DI) | SIADH |
|---|---|---|
| 尿量 | 多い | 少ない |
| 水分 | 脱水 | 体内にたまる |
| Na | 高い | 低い |
| 看護師がまず気付くこと | 尿が急に増えた | 尿量が減ってNaが低下した |
この2つは反対の病態ですが、
どちらも下垂体術後に起こる可能性があります。
そのため、尿量やNa値の変化に早く気付くことが重要です。
まとめ
下垂体は体内のホルモンを調節する大切な臓器です。
そのため、
手術後は尿崩症(DI)やSIADHによって、
尿量や電解質に大きな変化が起こることがあります。
看護師は、
1時間尿量や24時間尿量やIN・OUTバランス、
Na値などを継続して観察し、
小さな変化を見逃さないことが重要です。
「なぜ尿量を細かく測るのか」を理解すると、
術後看護の意味がきっと見えてくるはずです!
また、「尿量が多い」「尿量が少ない」という変化には必ず理由があります。
その変化にいち早く気付き、
医師へ報告することも看護師の大切な役割です。
それではまた次回!


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