こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回はキアリ奇形Ⅰ型とそれに対する減圧術後看護のポイントについて解説します!
脳神経病棟では、キアリ奇形Ⅰ型に対して後頭下減圧術(大後頭孔減圧術)を受けた患者さんを担当することがあります。
しかし、こんな疑問を持ったことはありませんか?

・キアリ奇形Ⅰ型ってどんな病気なの?
・どうして骨を削る手術をするの?
・術後は何を観察すればいいの?
キアリ奇形Ⅰ型は頻繁に遭遇する疾患ではありませんが、
疾患の仕組みを理解すると術後の観察ポイントも自然と理解できるようになります。
この記事では、
キアリ奇形Ⅰ型の病態から減圧術の目的、術後の観察ポイントまで
わかりやすく解説します!
それでは早速見ていきましょう!
目次
キアリ奇形Ⅰ型とは?
キアリ奇形Ⅰ型とは、
小脳の一部(小脳扁桃)が頭蓋骨の出口(大後頭孔)より下へ下がってしまう病気です。

つまり小脳の病気ってことですか?
このように思う人もいると思いますが、
実は小脳そのものが病気になっているわけではないのです。
多くは生まれつき小脳が入るスペース(後頭蓋窩)が狭いため、
小脳の一部が収まりきらず、
大後頭孔から脊柱管へ飛び出してしまいます。
その結果、脳幹・上位頸髄・髄液の流れを圧迫し、
さまざまな症状が出現します。

大後頭孔?脊柱管?
わけわかんないよ!

そう言うと思って下に図も交えた説明を添付しておくよ!


つまり、小脳扁桃が下へ下がることで、
脳幹・脊髄・髄液の通り道を圧迫してしまうんだ…
なぜ症状が起こるの?

脳幹や脊髄を圧迫したり、髄液の流れが悪くなったりすると、
どういう症状が出てくるんだろう?

脳幹や脊髄は生きていくために必要な身体の働きをしているからね…いろんな症状が出てくるよ!
① 脳幹が圧迫されると、どんな症状が出てくる?
脳幹には、以下のような生命維持に重要な働きがあります。
・呼吸
・嚥下
・構音
・平衡感覚
・意識
そのため、
そんな脳幹が障害されると以下のような症状が出現します。
・後頭部痛
・めまい
・ふらつき
・嚥下障害
・構音障害

脳幹の圧迫ってことは呼吸不全とか意識障害の症状も出てくるってこと?

キアリ奇形1型の場合、
脳幹圧迫はゆっくり進むことが多いから
呼吸停止や意識障害が初発症状になることはまれなんだ!
② 脊髄が圧迫されると、どんな症状が出てくる?
小脳扁桃が下がることで上位頚髄にも影響を及ぼします。
脊髄は「脳と全身をつなぐ神経の通り道」です。
すると、以下のような神経・感覚症状が見られます。
・手足のしびれ
・感覚障害
・筋力低下
・歩行障害
③ 髄液の流れが悪くなると、どんな症状が出てくる?
脳脊髄液(髄液)は、
脳から脊髄へ向かって絶えず循環しています。
しかし、小脳扁桃が大後頭孔に下がることで、
髄液の通り道が狭くなってしまいます。
すると、髄液の流れが悪くなるのです。
その結果、脊髄空洞症・水頭症を合併することがあります。

脊髄空洞症って何?

脊髄の中に髄液が溜まって
空洞ができちゃう病気のことだよ!
そのせいでしびれとか感覚障害になっちゃうんだ!
脊髄空洞症についての具体的な解説は
別記事で解説します!
キアリ奇形1型に対する減圧術とは?
キアリ奇形Ⅰ型では、
後頭下減圧術(大後頭孔減圧術)が行われます。

じゃあキアリ奇形1型で下がった小脳を
治療では元の位置へ戻すんじゃないの?

それがまた違うんだよね…
後頭下減圧術(大後頭孔減圧術)は
後頭骨の一部や、第1頚椎(C1)の一部を切除し、
小脳や脳幹の周囲のスペースを広げる手術です。
必要に応じて、
硬膜形成術が追加されることもあります。

この減圧術によって
脳幹への圧迫が軽減したり
髄液が流れやすくなったりすることができるんだ!


最後に出てきた硬膜形成術って何?

硬膜形成術とは
減圧術に加えて必要に応じて硬膜を切開して人工硬膜などで広げる手術のことだよ!
これをすることで髄液の通り道をさらに広げることができるんだ!
術後に観察するポイント

じゃあ具体的に術後はどんなことを観察する必要があるんだろう?

基本的な観察項目は他の脳疾患オペ後とかわらないんだけど、
このオペならではの観察項目もあるんだ!
① 意識レベル・神経症状
まずは通常の脳神経外科術後と同様に以下のことを確認します。
・JCS
・瞳孔
・対光反射
・四肢麻痺
・感覚障害
術前より悪化していないかを評価しましょう。

これら観察項目は過去の投稿で解説しているから参考にしてね!
② 呼吸状態
このオペでは脳幹が近くにあり、
脳幹には呼吸中枢があリます。
そこが障害されると呼吸状態が悪化する可能性があります。
そのため、以下のような呼吸状態を確認していく必要があります。
・呼吸数
・SpO₂
・呼吸パターン
・無呼吸の有無

この減圧術特有の重要な観察項目だよ
一番に押さえよう!
③ 嚥下・構音
また、脳幹への影響として
嚥下障害と構音障害も出現する可能性があります。
そのため以下のような症状もないか、確認していく必要があります。
・むせ込み
・嚥下障害
・嗄声
・構音障害

特にオペ後の食事開始時は誤嚥にも注意が必要だよ!
④ 手足の運動・感覚
術前から下記のような症状がある患者さんも少なくないです。
・しびれ
・感覚障害
・筋力低下
術後に術前にあった感覚障害やしびれなどが
改善しているか、あるいは悪化していないかを比較して観察します。
⑤ 頭痛の変化
術後は創部痛がみられますが、
急激な頭痛の悪化や持続する頭痛は
出血や水頭症、髄液漏の可能性もあるので
頭痛の程度を見ていくことも大事です。

創部痛はよくあるので、
患者さんの疼痛の程度によって
疼痛コントロールを図っていきましょう!
⑥ 創部・髄液漏
後頭部創を観察し、
出血・腫脹、発赤や浸出液を確認します。
特に硬膜形成術を行っている場合は、
透明な液体が漏れていないか、
髄液漏の有無に注意しましょう。
⑦ 感染徴候
術後ということで、以下のような創部からの感染徴候も観察します。
・発熱
・創部発赤
・項部硬直
・意識変化
減圧術後看護のポイントは3つ!
キアリ奇形Ⅰ型の術後は、
次の3つを意識すると観察しやすくなります。
①脳幹の圧迫がないか
先ほども話したように
脳幹は生命維持活動に必要な働きを担っています。
そのため、これら呼吸状態、嚥下状態、構音障害の有無、意識状態を
主に観察していきましょう!
②脊髄の圧迫がないか
脊髄は「脳と全身をつなぐ神経の通り道」でしたね。
つまり、そこを障害されると
麻痺やしびれ、歩行状態、感覚障害の有無が起こりやすいので
それらを主に観察していきましょう!
③髄液の流れが悪くなっていないか
術後合併症によって髄液循環に異常が生じる可能性もあります。
それによる頭痛、髄液漏、水頭症の症状がないか、
観察していきましょう!

この3つを意識することで、
術後に起こり得る異常を早期に発見しやすくなるよ!
まとめ
今回は「キアリ奇形1型とはなにか?」と「それで行われる減圧術後の観察ポイント」について解説しました。
キアリ奇形Ⅰ型は、
小脳扁桃が大後頭孔より下へ下がり、
脳幹・脊髄・髄液の流れを圧迫する疾患です。
減圧術では骨を削ってスペースを広げることで、
圧迫を軽減し、髄液の流れを改善します。
術後は、
脳幹の圧迫、脊髄の圧迫、髄液の流れの有無を観察して
異常の早期発見に努めていきましょう!
それではまた次回!


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