こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回はスパイナルドレナージの管理方法と観察ポイントについて解説します。
みなさんは、病棟に突然スパイナルドレナージが留置されている患者さんが転入してきたら
正しく管理・観察できますか?

え?スパイナルドレナージ?難しそう・・・怖い
新人看護師だけでなく、
経験年数のある看護師でもスパイナルドレナージを管理する機会が少ないと戸惑うことがあります。

5年目や6年目以上の先輩でもスパイナルドレナージについてあんまり知らない人は少なくありません・・・!
スパイナルドレナージの基本を確認しつつ、
管理方法と観察ポイントを見ていきましょう!
そもそもスパイナルドレナージって何?
スパイナルドレナージとは、
腰椎から髄液を排出する治療のことです。
なんのためにスパイナルドレナージをするのか
頭蓋内圧の調整や脳脊髄液循環の補助のためにスパイナルドレナージを留置します。
→水頭症予防や髄液漏に対する治療目的で留置されることがあります。

すみません・・・
髄液がどこで流れているのかも、
本来ならどこから作られてどこから排出されるのかもわからないです・・・
実は髄液(脳脊髄液)がまずなにかもわからない先輩も多いです。
復習していきましょう!
【復習】髄液ってなんだっけ?
髄液(脳脊髄液)とは
主に脈絡叢で産生されるもので、
脳や脊髄を保護して、脳をプカプカ浮かせる液体のことです。
通常 1日約500mL産生され、
体内には約150mL存在し、数時間ごとに入れ替わります。
髄液の流れは、
「側脳室→第三脳室→中脳水道→第四脳室→くも膜下腔→くも膜顆粒→静脈洞→血液循環」となります。
つまり最終的に髄液は血液の中に入るのです。

え?!
こんな大事な役割をしている髄液をスパイナルドレナージで抜いてもいいの?

髄液って少なすぎてもだめだけど、多すぎてもだめなんだよ。
先ほど挙げたスパイナルドレナージ適応の目的をさらに深堀りしていきましょう!
髄液を適量にするためにスパイナルドレナージを留置する!
さきほど「水頭症予防や髄液漏に対する治療目的で留置されることがあります」と話しましたが、
それぞれスパイナルドレナージを行う目的や意味が違います。

それぞれどういう目的があるのかを理解しておくと、
どういう看護・観察をしていけばいいかわかってくるよ
水頭症予防は髄液が多くなりすぎないように髄液を抜く
水頭症予防のためにスパイナルドレナージを留置することがあります。
水頭症って何?
水頭症には「髄液の通り道が詰まるタイプ」と「髄液を吸収できないタイプ」があります。
・「髄液の通り道が詰まるタイプ」
→脳腫瘍や脳室内出血により、
髄液の通り道が障害される
・「髄液を吸収できないタイプ」には
→髄膜炎やくも膜下出血により、
髄液が吸収できない
これらのことがあると・・・
髄液が脳内にたまることで脳室が拡大した状態、つまり水頭症になるのです。
その結果、頭蓋内圧が上昇します。
水頭症予防で溜まっていく髄液を抜くために留置する
この水頭症にならないために髄液を抜く目的で
スパイナルドレナージを留置することがあります。
髄液漏が起こったら感染予防のために留置する
そもそも髄液漏って何かってことを説明します。
髄液漏って何?
髄液漏とは、
本来脳や脊髄の周囲を循環している髄液が体外へ漏れ出る状態です。

どこから髄液が漏れるの?

鼻から出てくるんです・・・
髄液が鼻から流れるというメカニズムには
術後などで硬膜に穴が開くと頭蓋底から髄液が流れます。

え!私たちも鼻水かと思ったら髄液流れることがあるの??

そんな簡単には流れません!
鼻から流れる髄液の特徴を以下に話します。
・さらさらの無色な水
・ティッシュにつけると輪っかのような模様が出てくる
・両鼻のうち片側だけに流れる
2つ目に挙げた輪っかのような模様というのは
髄液特有のダブルリングサインというもの(下図)です。


髄液漏で鼻から漏れることって何が問題なの?

髄液漏をほっとくと実は怖いことが起こるんだ・・・
髄液漏は感染が怖い!
本来、脳と外界は遮断されています。
でも髄液漏があると、鼻腔と脳がつながります。
するとそこから細菌が侵入して髄膜炎や脳炎を起こすリスクがあります。

髄膜炎や脳炎になると、けいれんや意識障害、嘔吐など患者さんによって大変なことになってしまうんだ・・・!

髄液漏はわかったけど、なんでスパイナルドレナージ適応になるの?
スパイナルドレナージで髄液を抜いて漏れ出る髄液漏を減らす
髄液漏では、頭蓋底や硬膜にできた小さな穴から髄液が漏れています。
スパイナルドレナージで髄液を排出すると、
頭蓋内の髄液圧が下がります。
その結果、漏れ出る髄液の量が減り、
穴が自然に閉じたり修復されたりしやすくなります。

髄液圧を下げて穴を閉じやすくするためにスパイナルドレナージをするんだ!
クモ膜下出血術後でも水頭症や頭蓋内圧上昇予防のために留置する
そもそもクモ膜下出血の手術は動脈瘤の再破裂予防
新人さんの中にはクモ膜下出血を起こした人に対する手術で何をするのか知らない人も多いと思います。

クモ膜下出血で行う手術って、出血部分を抜く手術じゃないの?

実は違うんだ。
あくまでも出血した動脈瘤の再破裂を予防するものなんだ
クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因で起こります。
その破裂した脳動脈瘤から出血した血液が、
脳を覆う「くも膜」と「軟膜」の間のくも膜下腔に広がるため、
くも膜下出血と呼ばれます。
クモ膜下出血の手術はこの破裂した脳動脈瘤の再破裂を予防するために、
脳動脈瘤を洗濯バサミではさむようにクリッピングするのです。

じゃあ、最初に破裂して出てきた血液はどうなるの?

出てきた血液は術後しばらく、くも膜下腔に残るんだ
くも膜下腔に残った血液で水頭症・頭蓋内圧上昇になる
このくも膜下腔に残った血液は、髄液の流れや吸収を妨げることがあります。
その結果、髄液が脳内にたまり、
水頭症や頭蓋内圧上昇を引き起こす可能性があります。
そのため、スパイナルドレナージを留置して排出できなかった髄液を出しているんです。

ここまでお疲れ様でした!
次章でスパイナルドレナージの観察項目を解説します!
スパイナルドレナージの観察項目
観察項目を以下にまとめました。
ドレーン管理
- 基準点(0点)
- 排液量
- 排液性状
- 圧設定
- クリップ・回路
患者観察
- 意識レベル
- 頭痛
- 嘔気・嘔吐
- 発熱
- 穿刺部の状態

観察項目が多すぎるよ!!!

それぞれ意味がちゃんとあるから一つひとつ確認していこう!
ドレーン管理編
基準点(0点)
スパイナルドレナージが留置されている患者さんには
必ず基準点があります。
スパイナルドレナージで適量の髄液を抜くためには、医師が定めた髄液を抜く圧があります。
その圧は患者さんの頭の高さが違うと、簡単に圧が変わってしまうため
患者さんの外耳道を基準点(0点)として管理することで、
常に同じ条件で髄液圧を評価できます。

髄液の排液量
髄液の排液量について、
医師から1時間ごとと1日全体という感じで細かく指示されています。
なぜなら排出された髄液量が多すぎても少なすぎても問題があるからです。
排出された髄液量が
多いと・・・頭痛や嘔気、めまいにつながる
少ないと・・・水頭症や頭蓋内圧上昇につながる
そのため、時間ごとかつ1日ごとの排出された髄液量をみていく必要があります。

時間ごと・1日の目安の排出される髄液量ってあるのかな?

それは人によって違うんだけど・・・
一般的には100〜300mL/日程度となることが多いけど
最も重要なのは医師の指示量だよ
医師がその人その人に合った時間ごと・1日毎の髄液量を決めているので、そこを踏まえて観察していきましょう!
排液性状
髄液は基本無色透明です。
しかし疾患によってはキサントクロミーといった黄色味帯びているときもあります。
髄液性状について下記の表にまとめました!
| 性状 | 性状から考えられること |
|---|---|
| 無色透明 | 正常 |
| キサントクロミー(黄色味帯びる) | クモ膜下出血後によくある |
| 血性(鮮血) | 術後早期 ドレナージ留置直後 再出血 |
| 混濁 | 感染、髄膜炎 |

あれ?血性の場合で3パターンも考えられることがあるの?
血性といっても、必ずしも危険な状態というわけではありません。
術後早期やドレナージ留置直後なら血性になることもあります。
ただ、今まで性状がキサントクロミーだったのに、
急に血性を帯びることになったら再出血の可能性があります!

こうなったらそのときの患者さんのバイタルサインや意識状態とともに医師にすぐ報告しましょう!!
圧設定
スパイナルドレナージでは、医師が指示した圧設定で管理します。
圧設定は髄液の排液量に影響するため、
指示どおりになっているか確認することが重要です。
圧設定が低いと
髄液が流れやすくなり過剰排液となります。
一方で圧設定が高いと髄液が流れにくくなり、
排液不足となる可能性があります。

時間ごとの排液量とともに、
定められた圧が変わっていないか確認しよう!
クリップ・回路
スパイナルドレナージには
クリップが4つあります。
基本的に患者さんが臥床しているとき、
そのクリップたちは開放しておきます。
なぜなら、髄液が設定された圧で正しく流れる経路を確保するためです。
そして、その背景には頭蓋内圧(髄液圧)と外気圧の関係が関わっています。
そもそも髄液はどうやって流れている?
髄液は高い圧から低い圧へ流れます。
例えば、患者さんの髄液圧が15cmH₂Oで、
ドレナージ設定が10cmH₂Oならば
15cmH₂O(髄液圧)→10cmH₂O(ドレナージ圧設定)の圧差によって髄液が流れます。
どれかクリップが閉じていたら?
どれか4つのうちの1つでもクリップが閉じていると
排液バッグへ髄液が流れなくなります。
そして排液不足となり、
水頭症や頭蓋内圧上昇につながる可能性があります。

患者観察編
患者観察編では、意識状態や熱などは言わずもがな見るため
それらは省いてスパイナルドレナージの刺入部観察についてのみ
説明していきます。
刺入部
刺入部については、
ドレナージの抜けがないか、髄液の漏れ・発赤腫脹がないかをみていきます。

刺入部の漏れがあるとそこから感染を起こす可能性があるため、各勤務帯1回は観察していこう!
ここまで見ていくとこういう疑問点を持ちそうですね。

スパイナルドレナージがある患者さんって設定されている圧があるから、基本的に起き上がったりしちゃいけないってこと?
もちろん、圧が狂ってしまうため基本的に臥床状態ですが
トイレに行きたい時や食事をするときは
どうしても起き上がらないといけませんよね。

その場合は4つのクリップを閉じて排液しないようにするよ!
次章でそのことについて説明していきましょう。
起きるときはクリップを閉じる!
起き上がった時に設定された圧が狂ってしまうため、
排液が多くなったり少なくなったりする可能性があります。
そのため起き上がる前にしっかりクリップをする必要があるのです。
ただ、クリップを閉じる順番・開ける順番があるのでそこも注意しないといけません・・・!
クリップを閉じる順番は患者さんから遠い方から
なぜこのような決まりがあるのかというと、
急激な圧変化や逆流を防ぐためです。
もしクリップを患者さんから近い順番で閉じた場合、
その後に他のクリップを触ると、
回路内に圧変化や不要な液体移動が起こる可能性があります。
そこでバッグ側から順番に閉じることで、
回路全体を落ち着いた状態で遮断していきます。
逆にクリップ開放の順番は患者さん側から近い方から
逆にバッグ側から先に開けると、
回路の一部だけが開通した状態になります。
そのため、患者側から順番に開放して、
最後に全体が連続した流路になるようにします。

理屈で考えると当たり前なんだけど、
焦っているときとか間違えてしまうかもしれないから
うちの病院ではクリップ開放・閉鎖手順のマニュアルがあるよ!

正しくクリップの閉鎖をしていても長時間はだめでしょ?

あんまり長いと、髄液が溜まっちゃうから
クリップの閉鎖時間について、
うちの病棟では30分以内の短時間と規定しているよ
クリップ閉鎖時間については、
病院のルールや担当医の指示により異なるため、
必ず確認しましょう!
最後に
今回は、スパイナルドレナージの管理方法と観察ポイントについて解説しました!
難しい用語や理屈はたくさんありましたが、
ポイントは
排液量、性状、刺入部、圧設定、基準点、クリップ開放の有無です。
新人のうちはこれらをまず意識して観察していきましょう!
それではまた次回!


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