こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回は「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」について解説します!
脳神経病棟や神経内科病棟では、
ALS患者さんを受け持つことがあります。
しかし、このような疑問を持ったことはありませんか?

・初めてALSの患者さんを受け持ったけど、
ALSってどんな病気なの?
・どうして人工呼吸器が必要になるの?
・患者さんや家族にはどんな支援が必要なんだろう?
ALSは、単に筋力が低下する病気ではありません。
身体機能が少しずつ失われていく中で、
患者さんは何度も大きな人生の選択を迫られます。

逃れられない死の運命に対して、
患者さんの気持ちにどのように寄り添っていくのか…
難しい話だよね…
そのため看護師には、身体的ケアだけでなく、
精神的支援や家族支援も求められます。
そこで今回は、
ALSの病態から進行の流れ、
NPPV・気管切開・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)まで、
看護師が知っておきたいポイントをわかりやすく解説します!
目次
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは?
ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)は、
運動神経が徐々に障害され、
全身の筋力が低下していく進行性の神経難病です。
筋肉そのものが悪いわけではなく、
筋肉へ命令を送る神経細胞(運動ニューロン)が障害されることで、
筋肉が動かせなくなります。
日本では指定難病にも指定されています。

治療としてはラジカットの点滴または内服で
病気の進行を遅らせるってのがあるけど
ALSは治らない病気なんだ。
いずれは呼吸筋麻痺による呼吸不全や
誤嚥性肺炎で亡くなってしまうんだ…
人によって個人差はありますが、
一般的に発症から生存期間の中央値は
約2〜5年です。
ALSではどんな症状が起こる?
運動神経が障害されることで、
・手足が動かしにくい
・転びやすい
・ペットボトルが開けられない
・箸が使いづらい
などの症状から始まることが多く、
病気が進行すると、
・歩行困難
・嚥下障害
・構音障害
・呼吸筋の低下
へと進行していきます。

日々、ALSの症状の進行状況を見るために
MMTの測定やSTでの嚥下状態を評価していくよ!
ALSの大まかな進行の流れ
ALSは個人差がありますが、
一般的には以下の①から順に経過をたどります。
① 四肢の筋力低下
② ADLの低下
③ 嚥下障害・構音障害
④ 呼吸筋の低下
⑤ NPPV導入
⑥ 気管切開・人工呼吸器
⑦ 在宅療養・終末期ケア
すべての患者さんが同じ経過をたどるわけではありません。
進行速度や症状の現れ方には個人差があります。
呼吸状態の悪化が始まったら
ALSでは横隔膜などの呼吸筋も徐々に弱くなります。
すると、
・夜間に何度も目が覚める
・朝起きても疲れが取れない
・日中眠くなる
・少し動くだけで息苦しい
などの症状が現れることがあります。
これらは呼吸筋低下のサインであり、
早めに評価することが重要です。
NPPVとは?
NPPV(非侵襲的陽圧換気)は、
マスクを装着して呼吸を補助する治療です。
気管切開を行わずに呼吸を助けられるため、
ALSでは比較的早い段階から導入されることがあります。

いずれ呼吸筋が弱くなって使用していくけど、
NPPVに慣れる必要があるから
NPPVがまだいらない状態でも
少しずつ導入していくことが多いよ!
NPPV装着による看護師が観察するポイント
NPPV装着に対する
看護師が観察するポイントとしては
以下のようなことがあります。
・呼吸苦はないか
・SpO₂の数値
・マスクがずれていないか
・マスクによる鼻梁の皮膚トラブル
・睡眠状況
⇒マスクの圧迫感により睡眠できていないか
・不安や閉塞感
患者さんによっては、

マスクが苦しい
寝られない
と訴えることもあります。
身体面だけではなく、
精神面へのサポートも重要になります。
気管切開・胃瘻という大きな選択
ALSでは病気が進行すると、
気管切開を行い人工呼吸器を装着するかどうか、
嚥下が悪くなれば胃瘻を増設して経管栄養するかどうかという選択を迫られることがあります。
これは医学的な問題だけではありません。
・今後どのような生活を送りたいか
・家族はどのように考えているか
・在宅療養は可能か
など、
患者さん一人ひとりの価値観が大きく関わります。

ここが難しい話でね…
誰もが普通にご飯を食べたいし、
普通に呼吸したいんだけど、
それがだんだんできなくなっていくんだよね…
それを実感していくと死が近づいていることがわかる…
恐怖だよね。
そのためにもまだ元気な内からACPをしていく必要があります。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性
ALSでは、
症状が進行すると意思表示が難しくなる可能性があります。
そのため、
元気なうちから将来の治療について話し合っておくこと
が非常に重要になります。
これがACPです。
ACPでは、
・人工呼吸器を希望するか
・胃瘻を希望するか
・最後はどこで過ごしたいか
・緊急時は「どこまで」救命処置をするのか
などを、患者さん・家族・医療者で繰り返し話し合います。
一度決めて終わりではなく、
病状や気持ちの変化に合わせて見直していくことが大切です。

一度決めて終わるものではなく、
月日が経って状況が異なっていくと、
患者さんや家族の気持ちも変わっていくことも多いよ!
都度「今後のこと」を患者さんや家族に確認していく事が大事!
ALS患者さんへのメンタルケア
ALSでは、
身体は動かなくなっても、
認知機能が比較的保たれる方が多くいます。
そのため病気が進行していくことへの恐怖や、
「家族に迷惑をかけたくない」
という思いを抱えている患者さんも少なくありません。
看護師は、
すぐに励ますのではなく、
患者さんの思いを受け止め、
安心して話せる環境を作ることも大切な看護です。

こうやって文面にすると簡単かもしれないけど
患者さんの思いを引き出すのって
めちゃくちゃ難しいんだよね。

具体的には?

1つ事例を出そうか。
私が担当で持った患者さんの話をしよう
ひめたろが実際ALSの患者さんを持ったときの苦悩
実際私はALSの患者さんを担当として
長期間持っていたことがありました。

当時その患者さんが歩行できている状態から
寝たきりになって気管切開して
呼吸器管理状態になるまでの話だよ
その時の苦悩について、
2つ話していきます。
①患者さんの思いの表出が症状進行するにつれ少なくなる
これが一番辛かったですね。
身体がうまく動かなくなる、
嚥下ができずに食形態が下がっていく、
このように段々ALSの症状が進行するにつれて
患者さんは自分に絶望していくんですよね。

自分が当たり前にできていたことが
できなくなる辛さって計り知れないよ…
ALSは治らない病気です。
できないことが増えていくということは
段々死に近づいていると思う患者さんも多いです…
この担当患者さんがよく言っていたのは

言ってもしょうがない
早く死んでしまいたい
家に帰りたいけど、誰が世話をするんだ?
迷惑かけたくない
このような自身の思いを塞いでしまう発言ばかりでした。
ただ症状が進行するにつれて
以下のことを決断することが必要になってきます。
・気管切開をするのかしないのか
・胃瘻を導入するのかしないのか
・最期の場所をどこにするのか

いざという時に
本人の意志が尊重されないことが
ないようにしたいのに、
担当の患者さんは
これらのことを話そうとすると、
決まってこのように拒否してくるんだよね…

そんな話はやめてくれ。
考えたくない。
気持ちはわかります。
気持ちはわかりますが、
状態が悪くなれば自分が今後どうしたいのかというのが
わからないまま死んでしまう…
それもその患者さんの人生としてよくないですよね…

実際この患者さんは、
痰づまりになって土壇場のときに気管切開を希望したり、
もう食事は嚥下機能的に危ないと言われてたのに
食事を食べて窒息しかけたときに
胃瘻増設を希望したりと
もう生死に直結するようなことがないと決断できなかったよ
最終的には土壇場にならないと決断できない人だと割り切りましたが!

理想はまだその人が元気なときに、
今後のことをどうしたいか決めていく必要があるけど
このような決断も人によっては
タイミングが違うんだねって学ぶことはできたよ!
また、ALSになった患者さんにしか、
死が近づいてくる本当の恐怖・不安はわかりません。
その人が今後最期までどのように生きたいか、
どこまで延命治療(気管切開や胃瘻)を望むかを
真剣に考える場が必要であることを学びました。
②最期の場がここでよかったのか…?
2つ目の苦悩は、患者さんの最期の場についてです。
家で過ごしたいという患者さんに対し、
家族は在宅で人工呼吸器を管理するのは難しいという思いがありました。
患者さん的には家で過ごしたいという思いはあるものの
介護をするのは同居する家族です。

人工呼吸器の管理や、
本人の暗い思いをずっと聞いているのは辛い…
本人・家族と話し合った結果、
最期まで療養を受け入れてくれる病院へ転院することとなりました。

仕方ないよね…
僕は家に帰りたいけど、
家族が無理だもんね…
患者さん的にも
家族の負担を考えると転院することが第1選択とわかっていながら
辛い選択だったと思います。

最期の場が、
病室のベッドであること。
最期までよくみる景色が
病室の天井であること。
想像すると辛いですよね…
今でも思います。
あの選択が一番だったんだろうかと。
他にも選択肢があったんじゃないかと。

その人に合った選択が本当にあれで合っていたのか
ずっと考え続けなきゃいけない事例だったな…
看護師が観察したいポイントまとめ
ALSの患者さんに対して行う看護として以下のことが挙げられます。
・ 呼吸状態
⇒呼吸筋麻痺による呼吸苦やSpO2の低下、血ガスの値などを
定期的に観察していく
・嚥下機能
⇒嚥下時のむせ、肺炎の症状出現の有無を見ていき、
STと相談しながら
とろみの導入や食形態について検討していく
・ 栄養状態
⇒食事摂取量や、胃瘻導入後なら栄養剤の投与状況を見ながら
脱水症状の有無やAlb値の低下について見ていく
・ コミュニケーション能力
⇒ALSの症状進行により、
発音が困難であったり、話すことでの疲労感強ければ
文字板やホワイトボードでの活用を行う
・ ADL
⇒PT、OTと協力して運動機能を評価する。
ALSの症状進行に伴い
本人ができること、できないことを
明確にして介助を行う
・ 不安・抑うつ
⇒ALSの症状進行に伴い、
本人の不安や抑うつは強くなっていく傾向あり。
時間をとってでも本人から話を聞いて
最期までの時間をどのように過ごしたいか、
それが実現可能かどうかを
家族やケアマネ、医療メディエーターなどと話していく。
・ 家族の介護負担
⇒本人が自宅退院を望むのであれば、
家族の介護負担を考えて
導入できる在宅サービスの利用や
訪問看護・介護について環境を整えるように
家族に情報提供していく。
家族ができるだけ介護に疲弊しないよう配慮していく。
まとめ
ALSは運動神経が障害されることで、
筋力低下・嚥下障害・呼吸障害が徐々に進行する指定難病です。
病気が進行すると、
NPPVや気管切開、胃瘻など大きな選択が必要になります。
そのため看護師は、
身体的ケアだけでなく、
患者さんや家族の思いに寄り添いながら
ACPを支援することも重要です。


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