こんにちは!
ひめたろ🐶です。
今回はCAS(頸動脈ステント留置術)について解説します!
脳神経病棟の脳血管内手術では、
よく実施される手術の一つです。
しかし、このような疑問を持ったことはありませんか?

・CASってどんな手術なの?
・どういう疾患の人が対象なの?
・術後は何を観察すればいいの?
そこで今回は、
CAS(頸動脈ステント留置術)の目的や手術の流れ、
術後の観察ポイントまで分かりやすく解説します!
目次
この記事で分かること
この記事でわかることは以下の5つです!
・CASとはどんな治療なのか
・なぜCASが必要なのか、どんな疾患の人に適応なのか
・ 手術の流れ
・ 術前準備/術後観察のポイント
・ 起こりやすい合併症

新人看護師さんでもわかりやすく解説するよ!
よく行われる手術なので押さえていこう!
CAS(頸動脈ステント留置術)とは?
CAS(頸動脈ステント留置術)とは
⇒狭くなった頸動脈にステント(金属製の筒)を留置し、
血流を改善する血管内治療
主に、
頸動脈狭窄症による脳梗塞の発症や再発の予防
を目的に行われます。
胸を開いたり首を切開したりせず、
足の鼠径部分(大腿動脈)や橈骨動脈から
カテーテルを挿入して治療を行うため、
比較的低侵襲なのが特徴です。

CASが適応になる疾患の、
頸動脈狭窄症ってなに?
ここで簡単に頸動脈狭窄症について説明していきます。
CAS適応疾患の頸動脈狭窄症とは?
頸動脈は、心臓から脳へ血液を送る重要な血管です。
しかし、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などが原因で
動脈硬化が進行すると、
頸動脈の内側にプラーク(コレステロールなどの塊)が蓄積し、
血管が狭くなります。
これを頸動脈狭窄症といいます。

頸動脈狭窄症の原因になる
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙って
生活習慣病じゃん…

日々の生活習慣の蓄積が原因の病気は他にもあるよ…
生活習慣病が原因で頭の病気になるって怖いよね。
頸動脈が狭くなると、
・脳へ送られる血液が不足する
・プラークの一部が剥がれて脳の血管に詰まる
といったことが起こり、
脳梗塞を発症する危険性が高くなります。
CASでは、
狭くなった頸動脈にステントを留置して血管を広げることで、
脳への血流を改善し、
脳梗塞の予防を目的として治療が行われます。


ちなみに一般的には症候性で50〜70%以上、
無症候性では80%以上の高度狭窄が
治療の対象になることが多いよ
(施設やガイドラインによって異なる)
CAS(頸動脈ステント留置術)の流れ
それではここでCASの流れについて解説します。

え?
別に手術部看護師じゃないし、
流れなんて知らなくても大丈夫でしょ?

術中の流れを知ることで
術前後に何を観察・準備していくか
自然と想像しやすいから大事なんだよ!
簡単に流れを示すと以下の通りです。
① 局所麻酔または全身麻酔をかける
⇒局所麻酔ならカテーテル挿入部が
橈骨動脈なら橈骨動脈部分、
鼠径なら鼠径部分に麻酔注射する。
⇒全身麻酔なら事前にモニターつけたり、
静脈路1本を麻酔投与用に用意しておく。
全身麻酔後は気管挿管する。

全身麻酔では
呼吸抑制、血圧低下、徐脈、体温低下
が起こりやすいから
モニターやSpO2装着をして注意するよ
② 麻酔後橈骨または鼠径部からカテーテル挿入
③ 頸動脈狭窄部までカテーテルを進める
⇒造影剤を注入し、
血管造影で狭窄部を確認しながら行う。
④ 保護デバイス(フィルターなど)を留置
⇒保護デバイスとは、
プラークや血栓が脳へ飛ばないように、
一時的にフィルターやバルーンで保護する器具です。

カテーテルまたはステントによって
血管内のプラークが削れて
血流に乗って細い脳血管へ移動し、
つまらせちゃう可能性があるから
それを防ぐために必要なんだ!
(⑤ バルーン拡張して血管を拡張)
⇒必要に応じてバルーンで血管を拡張する
⑥ 狭窄部にステント留置
⑦ 狭窄部の血管が広がったか
血管造影で血流確認
⑧ 穿刺部からカテーテル抜去
(⑨全身麻酔であれば、患者さんに覚醒を促す)


手術の流れが割と多いな…
ステント留置するにも手順がいっぱいだから
時間かかりそう

手術の手技的な時間だけなら
1〜2時間ほどだよ。
全身麻酔であれば麻酔から気管挿管、
術後の麻酔から目が覚めるまでに
もっと時間かかるから
総時間4〜5時間かかることも多いよ
※CASが全身麻酔か局所麻酔かは施設によって異なるため、
事前に確認しておきましょう!

私の病院では全身麻酔下で行うことが多いよ!
それでは次章から
CASにおける術前準備と術後観察について解説していきましょう!
CASの術前準備
私の病院では全身麻酔下で行うことが多いので、
全身麻酔下でCASを行う場合の術前準備について説明します。
術前準備は、術前日と術当日でやることが異なります。
【手術前日】
①医師による術前準備の指示の有無を確認
②手術同意書、全身または局所麻酔の同意書確認
⇒術前日に手術についてのICがあることも多い
その時に同意書を取っているイメージ
③術前日・当日の手術の流れを患者さんへ説明
⇒絶飲・絶食の時間について
⇒当日の内服薬について
(術当日で中止の内服薬もあるため、事前に医師に確認)
⇒手術出棟時間について
⇒出棟時間から逆算して
何時頃に静脈路留置を2本行い、
何時から補液が始まるかについて
⇒膀胱留置カテーテルの留置について
⇒術後穿刺部位の安静について
④カテーテル穿刺部位について患者さんと確認し、
鼠径部であれば剃毛を実施する
⇒必要時のみ最小限の剃毛を行う
⑤両下肢の足背動脈を触知する
⑥手術前日なので、患者さんのシャワーを実施
⑦決められた絶飲食の時間に合わせて食事が止められているか
(例:手術当日の朝6時から絶飲食なら、
手術当日の朝食は欠食にする)
【手術当日】
①絶飲・絶食できていたか確認
②当日内服薬の確認、投与
③静脈路留置を2本実施、そのうち1本を時間通りに補液開始
④膀胱留置カテーテルを挿入する
⑤足背動脈触知の有無、左右差確認
⑥持参する薬剤、器具あれば確認する
⑦弾性ストッキングの装着
⑧出棟先の看護師へ申し送るために必要な内容を把握

やることが多い!!
それにしてもいくつか疑問があります…
それではCAS前の準備についてよくある疑問点に答えていきます。
CAS術前準備でよくある質問6選!
なんで静脈路確保を2本も行うの?
全身麻酔では点滴から麻酔薬を注入するので
補液または造影剤注入用に1本、
全身麻酔注入用に1本、静脈路確保を行う必要があります。
もちろん局所麻酔なら静脈路確保は1本のみで大丈夫です。
膀胱留置カテーテルが必要な理由は?
全身麻酔中は自力で排尿できず、
術後もしばらく安静が必要になります。
そのため尿量管理や全身管理を目的として
膀胱留置カテーテルを挿入します。
両下肢の足背動脈の触知が必要な理由は?
カテーテル操作によって
血管閉塞や塞栓、血管損傷が起こることがあります。
そのため術前に足背動脈を確認し、
術後も左右差がないか継続して観察します。
足背動脈の触知が難しい患者さんだったらどうする?
高齢者や今まで手術を繰り返してきた人では
足背動脈の触知が難しいことがあります。
その場合の解決方法は主に2つあります。
ⅰ)後脛骨動脈の触知を試みる
後脛骨動脈とは、
内くるぶし(内果)の後方〜やや下方にある足背動脈とは別の動脈です。
ここに指を当てると拍動を触れられることがあります。

ⅱ)ドプラーを使用する
足背動脈も後脛骨動脈も触知できないときの最終手段です。
正式にはドプラー血流計(超音波ドプラー血流計)といいます。
よく病棟では「ドプラー」といいます。
この機械を使用すると触知できない動脈も一発でわかります。

超音波で血流音を拾うので、
足背動脈が触れなくても
「ザーッ」「シャーッ」
という血流音を確認できれば
血流があると判断できるよ!
申し送りの内容ではどんなことを伝えればいい?
これは新人看護師において悩ましい問題ですよね…
まずこの手術ではどういう合併症が起こりやすいかということを
把握すると自然に申し送り内容もわかると思います。
私が主に申し送りで伝えていることは以下のとおりです。
・手術同意書、全身麻酔における同意書、造影剤の同意書内容
⇒誰が・いつ・どんな手術内容・全身麻酔か・手術におけるすべての項目について同意しているかを必ず確認する。
・当日内服薬の内容
⇒降圧薬や抗血小板薬などは特に伝える!
・絶飲・絶食が守られているか
・アレルギーの有無
⇒特に造影剤アレルギーや薬のアレルギーがあれば報告要!!
・普段の血圧と術前の血圧変動の有無
⇒カテーテル挿入といった
侵襲的な手技中の血圧変動が起こる可能性を示唆させる。
・もともとの呼吸状態
⇒全身麻酔下であれば呼吸抑制は免れない。
・認知機能低下や認知症の有無
⇒術後せん妄の可能性を示唆させ、
麻酔から覚める時注意するよう伝える。
全身麻酔による合併症、
CASでカテーテルという異物が血管内に入る身体の影響を考えていくと、
申し送りに必要な内容は自然と出てきます。

割と慣れのような部分もあるけど、
このまま勉強を頑張ろうね
もしCASで局所麻酔のほうが行われたらどのように準備していく?

うちの病院では局所麻酔のほうが多いです!
このような人もいると思います。
その場合、術前準備については
アンギオ(脳血管造影検査)とほぼ同じなので
過去投稿を参照してください!
アンギオ(脳血管造影検査)とは?⇒ https://x.gd/uUOyU
それでは次にCAS術後の観察ポイントについて解説していきましょう!
CAS術後の観察ポイント
ここがこの記事で一番重要です。
① 神経症状の変化
・JCSの変化
・運動麻痺の変化、有無
・構音障害、失語の変化、有無
・瞳孔の変化
・足背動脈の触知、左右差
術中・術後に塞栓が飛ぶと、
新たな脳梗塞を起こす可能性があります。
神経症状の変化を見逃さないことが重要です。
関連記事の章に瞳孔の見方や意識状態の見方など過去投稿のURLを添付しています。
ぜひ参考にしてください!
② 血圧管理
CAS後は、
急激に脳血流が増えることで
過灌流症候群を起こすことがあります。

過灌流症候群って何?
脳の血流が増えることは良いことなんじゃないの?

急に脳血流が増えると逆に血管や脳に負担になっちゃうことがあるんだ
過灌流症候群とは?
過灌流症候群とは
…狭くなっていた血管が急に広がることで、
脳に必要以上の血液が流れ込み、脳がダメージを受ける状態。
頸動脈狭窄症では、長期間にわたって脳への血流が低下しています。
すると脳は少ない血流でも酸素を届けられるように、
細い血管を広げて血流を保とうとします(脳の自己調節機能)。

しかし、CASによって狭窄が改善すると、
一気に多くの血液が流れ込むようになります。

本来であれば脳の血管は収縮して血流量を調節しますが、
長期間の血流低下によって自己調節機能が低下していると、
血流を十分に抑えることができません。
その結果、脳に過剰な血流が流れ込み、
脳浮腫や脳出血を引き起こすことがあります。


この画像の通り、
さきほど話した意識状態の変化、
運動麻痺の出現の有無など見るのも大事なんだけど
脳血流量が増えることでの
血圧上昇の有無も見る必要があるよ!
病院ごとの目標血圧に従い、厳格な血圧管理を行っていきます。
また、発症は術後数時間以内だけでなく、
数日以内に起こることもあるため、
術後も継続した血圧管理が重要です。
③ 穿刺部観察
穿刺部位の観察はアンギオ(脳血管造影検査)と同じです。
・出血の有無
・血腫、皮下気腫の有無
・腫脹の有無
・疼痛の有無

止血デバイスを使用していても、
後出血が起こることがあるよ!
もし穿刺部位から皮下気腫や出血があれば
すぐ担当医師に報告しよう!
④ 徐脈・低血圧
ステント留置時に頸動脈洞が刺激され迷走神経反射が発生することで、
徐脈や低血圧が起こることがあります。
また全身麻酔下であれば、より徐脈や低血圧になりやすいため、
循環動態を継続して観察します。
CAS後に起こりやすい合併症
脳梗塞
プラークが飛散すると脳梗塞を起こす可能性があります。

え!!
頸動脈狭窄症による脳梗塞の予防のためにCASをするのに
CASの合併症に脳梗塞があるんだ?!

保護デバイスは使用してるんだけど、
やっぱり剥がれたプラークが飛んじゃう可能性もあるからね…
術後注意する必要があるよ!
過灌流症候群
先ほど説明した通り、
術前まで血流が少なかった脳に急激に血流が戻ることで起こります。
初期症状
激しい頭痛、意識障害、痙攣の出現、神経症状の悪化が主な初期症状です。
重症化すると脳出血へ進行することもあります。
穿刺部から出血や血腫
穿刺部位から血腫、出血のリスクがあります。
ステント留置部位に再狭窄
長期的にはステント内が再び狭窄することがあります。
そのため定期的に頸動脈エコーなどで経過観察し、
必要に応じて再度血管造影を行います。
新人看護師が覚えておきたいポイントまとめ
CASについてポイントは以下のとおりです!
◎CASは狭くなった頸動脈を広げる治療であること
◎CAS術中の内容を確認し、術前準備を行う
◎術後は神経症状を最優先で観察する
◎ 血圧管理は過灌流症候群予防のために重要
◎ 穿刺部の出血・血腫を確認する
◎ 徐脈・低血圧にも注意する
まとめ
今回はCAS(頸動脈ステント留置術)について解説しました。
CAS(頸動脈ステント留置術)は、
頸動脈狭窄症に対して行われる低侵襲な血管内治療です。
術後は、神経症状・血圧変動、穿刺部を重点的に観察し、
脳梗塞や過灌流症候群などの重大な合併症を早期発見することが重要です。
今回はいつもより長めになってしまいました。
その分、重要なことや参考書では教えてくれないことも丁寧に解説できたかなと思います。
お疲れ様でした!
それではまた次回!
関連記事
・アンギオ(脳血管造影検査)とは?⇒ https://x.gd/uUOyU
・瞳孔の見方⇒ https://x.gd/lbI57
・意識状態の見方⇒ https://x.gd/LEFi2
・運動麻痺の見方⇒ https://x.gd/EZkiv


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